暗闇のただ一角に魔法専門のウィザードにも劣らない魔力が蓄積する。
チェイサーから紡がれる詠唱は歌の旋律の様に美しく
その手に持つはパゼラルド、魔力の塊となった短剣からただ一言で魔力が解放される
「・・・ストームガスト」
一瞬で水浸しの部屋が凍りつき存在したはずの水は全て氷となる
「こんなものか」
一歩階段に向かって踏み出し氷に短剣を突き立てる
衝撃と甲高い破砕音そして短剣に宿りし火の魔力に耐え兼ね氷が四散する
氷が飛び散り人一人通る事ができる程度に入口を開けた階段を軽やかに、
所々破壊仕切れなかった氷を砕きつつ確実に降りて行く
すると開けた部屋と隔壁が姿を見せる
「後は隔壁だけか・・・」
数歩下がり短剣を構え、前に向かって突き出した



        *       *       *



「OKOK、姉さんそのファイルは私的なものだクリックするな!中をみるな!ちょまwww
NOOOOOOOOO!!誰かHELP ME!!!」
「なんでこんなものが・・・削除!削除!削除!!」
「あふん・・・・らめええぇぇぇぇやめてえぇぇぇぇ」
「止めてあげない」
「orz」
カヴァクがこんなものを集めているとは思わなかったが
これでも姉としてやらなければならないと言う使命を感じてファイルを削除する
もっと大事な用件があった気もするがそれはそれ今はこれ
とりあえずけしからん、特にこの画像、非常にけしからん
「ま、待て待つんだ姉さんときにもちつけ、そんなに眉間にしわを寄せて・・・
ちょw何故そのパスがわか・・・ウッギャアアアアアアァァァァァァァ」
セシルさんがカヴァクの部屋に入ってからしばらくして断末魔の叫びが数回に渡り響いたと言う
セニア談



         *       *       *




楽しい月日は、すぐ過ぎるものである、友と冒険し
数多の地で魔物と戦い、ギルドからの仕事を手段を選ばず確実にこなした
自分は、知らぬまに到達者と呼ばれた
それでも俺は力を求めた、いざと言う時に力の足りない自分に憂い、友を超え更なる高みを目指す為に
俺は、挑んだギルド最強の六柱の一人に結果は惨敗、俺は触れる事すら出来なかった
「弱い、命があっただけありがたいと思え」
吐き捨てるように言われ積み上げてきたプライドは粉々だった
一から三層と六柱に分けられているアサシンの区分で三層の尚且つ到達者と
呼ばれた俺は・・・負けたのだそれも何もできずに
俺は、次元が違うとしか感じることができなかった


ボロボロの心身を晒す事を恐れ道化として友と妹の前で振る舞うことを考える
いつもの荒野の丘の上に二人の姿を見つけ頬を叩き気持ちを入れ替える
「遅いよ、お兄ちゃん」
「すまなかった、仕事に手間取った」
まだ少し距離がある位置から見つけられる、流石に自分の妹と言う事だろうか
「少しは上達したのか?」
「ふん、お兄ちゃんよりは強くなったもーんだ」
笑顔で小突きに来るのを軽く一歩下がって避ける
「まだまだ負ける気はさらさらないぞ」
「どうかなあ、俺が教えてるんだぜエレメス」
「お前が師匠になるのかが激しく疑問だ」
「なんだと!そこに直れ、的にしてやる」
「やだねっ」
「まあ筋がいいのは間違えいない、俺を超えるかもよ?」
「お前を超える悪ってことか?なんか勘弁してほしいな・・・」
「いってろ馬鹿め、っとエレメスちょっと付き合え、今日は終わりだトリスちゃんは先に宿に戻ってな」
「ん、りょーかーい」
トリスが笑顔で宿屋の方向に向かって走っていく
20メートルくらい走ったところで急にスキップに変わった
絶対何かある後で調べねばと思いつつインドラのほうに向く
「一体なんだ?インドラ」
「まあちょっと服脱げや」
「・・・・インドラ、お前まさか・・・」
「違うわ!いいから服脱げ、怪我してるだろうこの野郎」
「!」
「なんでって顔だなあ、まあいつものお前の動きといろいろと僅かばかり違和感があったからな」
「わからないようにしていたつもりだったんだがなあ・・・」
「お前の演技はおかしいんだよ、もっと練習したらどうだ?アサシンの癖にw」
「そうだなあ教えてくれると助かるんだが」
「まあいいだろう、む、打撲が多いなこの鋭い切り傷はカタールだな」
「応急手当と解毒はしたんだが痛みがとれなくてな、呼吸のたびに痛む」
「まあこれくらいならどうにかなんだろ、聖なる風よ神の子らを癒せ」
傷が癒えてきて身体を蝕んでいた鈍痛が引いていくのがわかる
「うし、後は、何があったんだ?とりあえずぶちまけろよ」
酒の入った水筒を寄越しながらインドラは聞いて来た


俺は語った自分が六柱に挑み負けたことを
インドラは自分がいなかったときのトリスの様子を話してくれた
『どうやら惚れた男がいるらしい』
いちいちお節介なやつだと思うが必要以上の情報は寄越さないのがやつの信条だ
「で、なんでこの荒野に霧が出るのか説明してもらおうかエレメス」
「・・・俺が知るわけないだろう」
二人で会話すること半刻そろそろ宿へ帰ろうというところだった
急に当たりに霧が立ち込め視界がほぼゼロになったというわけだ
「そりゃそうなんだがな、とりあえず前が見えん!吹き飛ばしてやろうか!?」
「落ち着け」
霧が急に晴れ光に満たされた空間が姿を現す。
隣にいた筈のインドラの姿が見えなくなる
「・・・ここは何処だ?」
立ち止まっても仕方がないと前に進み始める
光に満たされた空間がさらに開け天使を象ったような女神が姿を見せる
「ようこそ、ヴァルハラへ歓迎しますよ到達者」
「・・・誰だ」
「私はヴァルキリーと申します。」
「・・・神様が俺になんのようだ?」
「貴方は選ばれたのです」
「なんのために?」
「私はヴァルハラの入口を守る門番のようなもの、話せと言われていること以外は話せません
ただきっかけを与える様にと言われています」
後ろから出てきた腕には杖が握られている
「貴方は何を求めますか?」
「・・・俺は・・・力を誰にも負けない力を」
「何故貴方は力を求めますか?」
「・・・友と家族を守る為に・・・その障害となるものを消し去るために・・・俺に力を!」
「わかりました、貴方に力を授けましょう、主神オーディンの名のもとに神が認めし到達者
エレメス=ガイルに神の祝福を」
白い光ともに薄れていく意識の中
「これは、きっかけに過ぎません。貴方ならば求めるものを手にいれる事が出来るでしょう・・・」
(俺は、強くなれるのだろうか・・・いや、なって見せる!)
言葉と思いを噛み締めながら意識はそこで途絶えた。



         *       *        *



足はアサシンギルドに向いていた
俺は、強くなっただが自分にとっての証明が欲しかった
ギルドの一番奥六柱が集まるとされる祭壇に足を運んだ
「・・・再戦を申し込みたい」
「いいだろう、しかし私とて簡単に最強の座を明け渡す気はない、殺す気でこい」
「・・・参る!」
掛け声と共にカタールがぶつかり合う火花がちった
「ねえ、『漆黒ノ双剣』」
「なんだい、『黒猫』」
「『夢幻ノ影』とあいつどっちが勝つかなあ」
「さあ?」
「まあ、どっちが勝っても面白そうだし、気長に待つとしましょうか」


一瞬の交錯と同時に計六回の斬撃がぶつかり合う、火花を散らしたカタールがその速さを物語る
交錯と同時にそれぞれが飛びのき開いた距離はほぼ一瞬でまたゼロになる
今度の交錯には相手の機動力を奪う為に交錯と同時に右のカタールで右足首に向かって最速で突き出す
しかし右腕のカタールで僅かに跳ね上げられ軌道が変わる
跳ね上げに使われたはずの右腕はもう既にこちらの右肩に向かって突き上げられている
それを左のカタールで受けその勢いを利用し、後ろにバク転をして距離を離す
(ダブルアタックか・・・)
シーフの技術で腕を一時的に加速、空気抵抗を軽減し一瞬で二回攻撃するものである
以前は攻撃も見えず防ぐ事も出来ずに倒されたことから考えたら強くなったと言えるだろう
(だが・・・・まだ足りない)
「・・・疾れ、グリムトゥース」
ハイディング無しから放たれた地槍に周りで見ていた三人の中に声がでる
「へぇ」
自分の疾走と同じ程度の速さはあるであろう地槍が標的を襲う、
同時攻撃を繰り出そうと地を這うが如くの低い体制で距離を詰めソニックブローを叩き込む体制に入る
だがその考えを直ぐさま否定しサイドステップを踏んだ
「・・・魂まで切り裂け、ソウルブレイカー」
飛んだと同時に放たれた斬撃が地槍が疾る地面をえぐりエレメスがさっきまでいた地点を薙ぎ払う
避けなければ首が飛んでいたであろう一撃を避け内心冷汗がでる
「こんなものか、もっとお前の本気を見せて見ろ」
挑発と分かっている、アサシンの最も単純な錯乱術の一つだ
こちらは手を見せないがそれは向こうも同じだろう、実力が同じアサシン同士ならば傷一つが勝利を分けることすらある
傷から毒を受ければ麻痺、痙攣、痛みなどにより速度が鈍り
僅かな差が徹底的、絶対的な差になることは明白だからである
「・・・来ないならばこちらから行くぞ、影よ我が分身となりて我が敵を欺け」
影が人の形を作り上げ二つの人影、否、寸分の狂いもない使用者である夢幻ノ影と姿形そっくりの分身が現れる
「む・・・」
初めて見る技に思わず声が漏れる
「これが私の最強である由縁」
「わからず、ただその身を差し出せ」
「無限に繰り返されるこの連鎖止められるものなら止めるがいい」
三人となった人影からそれぞれ言葉が紡ぎだされている
劣化的な分身を作り出し波状攻撃を仕掛けるのだろうと一瞬の間に思考を終える
一人だけその場から掻き消えるのを感じるも先ほどと同じ威圧、同じ殺気、同じ眼光が二つ
無限に繰り返すというならばしのぐ事だけで自分の消耗は歴然であろう
(むしろこの消耗を狙うためだけに作り出された技と考えるのが妥当か)
二つの分身が同時に左右に疾る、速さはほぼ先ほどとほぼ同等
本人を二人相手にしているような感じさえ覚える
自分のスイッチをさらに深く押し入れ左右からの間隙を凌ぎカタールが火花を散らす
攻撃の間には一瞬の間が空く、僅かな時間差を置いて相手の刃が迫ってくる
一瞬の間されどエレメスに一瞬の間は長い、一瞬あれば軽く九回はステップが踏める
一瞬あれば人の一人や二人肉塊に変えることなどたやすい
右から襲い来る分身の手首、足首を切り飛ばし、次の瞬間にはもう一方の首をはねた
「・・・遅い」
「次だ」
四方から現れる影を見て正直うんざりする
(確かに分身は強いだが・・・俺にとってはただの雑魚だ)
僅かに時間差を置いて再度刃が迫る、速くそして鋭い狙いも確実に機動力を削ぐものだ
「疾れ」
一つ、地槍で前方の一つを串刺しにし戦闘不能に
二つ、右手から投擲したナイフが両目を貫く
三つ、左手のカタールで首をはね
四つ、顔面にインベナムを叩き込んだ
「茶番は終わりだ」
自分の姿とともに気配すらその場から消滅させた


『お前の弱点は何だと思う?』
『やっぱり重い一撃が出せないことと制限が多い技が多いことだろうか』
グリムトゥースにしてみればハイドしないと使えない事が一番だ。
ならばハイドせずに使うことのできる修練を積むしかない
それが自分がたどり着いた今の自分の姿だ
自ら考えたことだがクローキング状態で常に攻撃することができれば誰にも負けることはないだろう
クローキング、相手の心と視界の死角に潜み移動する隠密術
サイトやルアフでは視覚の死角を魔法で封じられ
蟲には心がなく悪魔には死角がないため隠れることができないとされる
実際は、主に逃げる場合や奇襲の最初の一撃使う程度だ
じゃあクローキングですべてから姿を隠すには・・・?
答えは自ずと出た、自らを探すこの世界からすら身を隠せばいい
その使う武器すらも相手の内部に達したときにだけ姿を見せればいい
世界から身を隠せば攻撃を当てられたところで姿を見せることもない
方法を探し、限定的にだったが使っても数十秒で力尽きてしまうもののこの力を手に入れた
数十秒でも目標を見つけた後、殺すまでになら十分だった
俺は世界を捨てることでこの力を手に入れた
『インジブル』
世界から姿を隠し近づく
まったくの無音、クローキングでは少しだけ残ってしまう気配を無に還し
自らが感じた位置にまで移動する、世界の外側から内側を見ることは簡単だった
一瞬八閃確実に人体の急所に叩き込む己が言った事だ『殺す気でこい』と
確かに手ごたえはあったしかしすべてが止められていた
それも左手の一本の短剣でだ
「勝負有りだ、もういいだろう流石に六柱に二人消えられると厄介なんでな」
「・・・今の俺が・・・見えたのか・・・?」
言葉が漏れ出すと同時にインジブルが解除される
「ああ見えたさ、俺のほかに世界の外側に出られるやつはお前が初めてだったがな」
身体を支えることができなくなり一気に疲労が体中を蝕んでいく、この技の反動はそういうものだった
「そこの段空けろこいつを寝かすからな」
一段高くなった祭壇の一部に寝かせられる
普通はここで仮眠室にでも行かされるはずなのだが動こうにも動けないので黙って寝ておくことにする
「とりあえず、集まって貰ったのは言うまでもない、知っているとも思うが『黄昏ノ飛刃』が死んだ」
「あいつが殺られるとは何があったのかな?」
「リヒタルゼンの諜報活動に赴かせて置いた部隊の四人が急に連絡を断ってな、
捜索隊隊長を任せておいたんだが一週間前に貧民街の一角で殺されているのを捜索隊の一人が報告してきた」
「あのう自分まだ、ツケかえしてもらってないんスけど」
「「「あきらめろ(なさい)」」」
「でだ新しく六柱を選出しようと集まってもらったわけなんだがめんどくさいからこいつでいいな?」
指をさされぎょっとするどっからどう見ても自分を指されている
「意義なーし」
「いいんじゃない?」
「自分はマスターが決めたのならそれでいいかと」
「・・・私は認めん」
「負けたくせにぃ?」
「・・・・言うな」
「よし決定だな、通り名は・・・『蒼髪ノ悪魔』ってとこだろうな、とにかく決定、お前ら帰っていいぞ」
「えーこれだけですか」
「そうだ」
「待ってくれ俺は・・・」
身体を無理に起こし激痛が身体に走る中、ここで反論しておかないと後悔する気がして言う
「じゃあ一生ギルドから狙われるのと、承諾するどっちがいいか選べ
もっとも六柱に戦いを挑んで勝ってるんだ、並みの狙われ方じゃないという事は心して置くように」
とてもニヤニヤしながら言うあの口を塞いでやりたいとも思った
しかし目が笑っていない絶対に自分の考えを曲げる気はない目だ、なりたいというまで本当に命を狙われる気がしてならない
「・・・わかった」
降参の意を表すように両手を挙げため息をつく、まったく厄介なことになってしまったものだ












4話目です。執筆が遅くなった上に妄想が全開OTMです。ゴメンナサイゴメンナサイゴメ(ry
やっぱり置き逃げします。ゴメンナ(ry
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