「どうにか2階まで来れたでござるな〜・・・」
肩車から降ろしカトリのガードマフラーを脱がせてやる。
相変わらず無表情に見える少女がそこに現れた。
「とりあえず彼のところに行けばカトリ殿も安心でござるな。」
「エレメス・・・どこ行くの・・・?」
「心配しなくてもいいでござるよ。カトリ殿がよく知ってる人物の所でござる。」
「それじゃあ・・・おんぶして・・・」
(うはwwww可愛いでござるなぁwwww)
両手をこちらに向けておんぶをねだるカトリ。
思わず表情がゆるゆるになってしまう。
「よいしょっと、じゃあ行くでござるよ〜。」
「お〜・・・」
そうして背中に少女を乗せた暗殺者は歩き出した。
―――――
コンコン
「んぁ?誰だ?」
ノックの音に反応してラウレルがソファから腰を上げる。
朝食の後の見回りまでの自由時間。
彼はその時間をソファに腰掛ながらヘッドフォンで音楽を聴くのが好きだ。
正直、邪魔されたくない時間なのだが来客とあらば動かざるをえない。
「はい、ってエレメスさん?どうしたんスか?こんな時間に。」
「ちょっとラウレル君に頼みたい事があって来たでござるよ〜。」
「はぁ・・・頼みたいことですか?」
「まぁ難しい話は抜きにしてこの子を見るでござるwww」
エレメスが背中を向けるとそこには少女が一人。
「エレメスさん・・・まさかエレメスさんもセイレンさんと同じ道に・・・?」
「ちょwwwそれは違うでござるよwwwよーく見るでござる。」
「ん?どっかで見たような・・・」
いつもの無表情、綺麗な澄んだ藍色の瞳、そしてそのお団子頭。
「あぁ・・・俺は寝ぼけてるんですね・・・?それじゃあおやすみなさい・・・」
「ラウレル君。現実を見るでござる。」
「ラウレル・・・お腹空いた・・・」
その瞬間、ラウレルの中で何かが弾けた。
「ふざけんじゃねぇぞコラァーーーーーーーーー!」
―――――
まぁ結局、現実は受け入れなければならない訳で。
(またスレの魔力か!厄介なものだよ!スレの魔力と言うのは!!)
それじゃあお任せするでござるよwwwなどと言い残してエレメスは3階に戻っていった。
「しかしよぉ・・・ほんとにこのちっこいのが姉ちゃんなのか・・・?」
今は隣に座っているカトリを見ながらラウレルはため息をつく。
普段も顔立ちや身長は年齢不相応な幼さを残しているのだが、この状態は別格だ。
大体7,8歳と言ったところだろうか。
まさか、この姿でゲフェンの氷の魔術師と呼ばれたハイウィザードだとは誰も思わないだろう。
「ったくどうすんだよこんな状況ー!」
頭を抱えてうんうん唸っているとマントがくいくいと引っ張られた。
「ん?なんだよ?」
「ラウレル・・・ご飯まだ・・・?」
上目遣いでこちらを見てくるカトリの頭に犬耳を幻視してしまったラウレルは鼻血を吹いて見事なまでに倒れた。
―――――
自分の部屋に備え付けてある戸棚からパンを数個出す。
朝食は済ませてあるので自分は食べないが、小さくてもカトリはカトリだろうと少し多めだ。
「ほら、メロンパン。」
「いただきます・・・あむあむ・・・」
一緒に冷蔵庫から牛乳を出してコップに注いでカトリの前に置いておく。
「むっ・・・」
食べるのを一旦止めて胸をとんとん叩き出した。
「ちょ、ほら!飲め!」
牛乳の入ったコップを手元に持っていくとそれを一気に飲み干した。
「誰も取ったりしねぇからゆっくり食べろ・・・」
再びメロンパンを食べながらこくこくと頷く。
(しかし・・・服が問題だよなぁ・・・)
カトリが今着てるのは、起きた時にエレメスが応急的に作ったシーツを肩で結んだだけの物。
さすがにこれだとまずい。色々とまずい。
今はパンに夢中のようす。今の内に着れる服を探そう、とラウレルは動いた。
とりあえず自分のクローゼットの中。マジシャン用のマントと予備のジーンズ、ロングTシャツのみ。
(つか、下着つけてんのか・・・?)
などといけない事を想像してしまった。自重しろ、と自分の中で反省。
とりあえずロンTを出してみる。
ドクロの柄が中央に入ったかなりファンキーな黒のTシャツだ。
(却下・・・似合わねぇだろ・・・)
別のロンTに手をつける。
今度は返り血で濡れたようなイラストの白のTシャツ。
(さっきのよりはマシか・・・)
着せたらダボダボになるだろうが、脱げる危険性は無いに等しいだろう。
と、服を探しているうちにカトリは既に2個目のクリームパンを食べ終え3個目のあんパンへと移っている。
相変わらず姉ちゃんは姉ちゃんか、なんて思ってしまう。
「おーい。それ食い終わったらとりあえずこの服着とけ。」
(こくこく)
そろそろ見回りの時間も迫っている。
自分も用意しなければならない。
洗面所に行って顔を洗って歯を磨く。
髪型をある程度整え、いつも通りの自分が鏡に映る。
「うし、これでいいな。」
洗面所から戻ると、カトリがシーツを外してTシャツを着るタイミング。
「はいてなかt・・・」
「フロストダイバー・・・ユピテルサンダー・・・」
「がはぁっ!」
凍って感電し、吹っ飛ばされたラウレルが部屋の壁に張り付く。
小さくてもまったく魔力の衰えを感じない強烈な一撃がラウレルを襲った。









ずいぶんと更新遅れました・・・orz
ほんっとーにごめんなさい(´・ω・`)
たぶんもうちょっと続くかも?

by創羽 龍生
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