これはまだ昔の昔その昔、後に最強のロードナイトと歌われた、SWさんと、
後に多分最強のアサシンクロスと歌われた、エなんとかガなんとかさんのお話。


「ふっ…!!

一つの気合と共に、目の前にあった岩が二つに割ける。

「これがバッシュ。我々が生き抜くために、幼少の頃より教えられる初歩剣術。
 全身の動きを一つとし、照準となる位置に正確に剣を叩きつける。
 簡単に見えるが、慣れず手打ちになる者も多い。
「なるほど、でござる。

岩に叩きつけられた剣を抜くロードナイトと、そばに佇むアサシンクロス。

「だが反面、初歩で使えるということ、剣を叩きつけるだけということは…
「威力で劣る、と…いうことでござるな。
「そういうことだ。つまり我々には、
 アサシンのソニックブロウのような必殺となる技がない。
「あれも必殺と言うには程遠いでござるがな。
 拙者はあのような派手なものより、じわじわと削る方が好きでござるよ。
「いい趣味だ。

くくっと目を合わせ軽く笑う二人。

「そう謙遜するな。その速度を持ってして行われる八度急所を突くという行為、
 相手の戦力を殺ぐには十分だろうに。
「殺ぐだけでは勝ちにならんでござるからな。
「はは、確かにそうだ。……だが、俺はそれを見て考えた。
 1度ならば威力の劣るものでも、
 ソニックブロウのように多段で当てればあるいは…とな。
「ロードナイトらしい豪快な考えでござる。

ロードナイトが横を向く。その先には先ほど二つに割いたうちの片割れの岩。
距離は…剣の届く間合いよりもわずかに外。

「極めたバッシュには、主に二つの使い方がある。

剣を正面に構え神経を集中させる。
ゆらりと身体が揺れ、剣にそれが集約した瞬間……

「はっ!!

また一つの気合と共に剣を振る。
剣は岩には当たらず、だが過ぎた瞬間音と共に岩に剣筋を残し、
そして岩は複数に砕ける。

「気合…でござるか。
「そうだ。剣に気を集中させ、剣威と共にそれを乗せ叩きつける。
「拙者が見せたソウルブレイカーのようでござるな。
「あんなに器用に飛ばせるものではないがな。
 精々間合いを半歩伸ばすだけだ。
「さしずめ、バッシュA…バッシュアローと言ったところでござるか。

ロードナイトが逆を向き、もう一つの片割れの岩に対面する。

「そして二つ目が…

今度は剣を横薙ぎの位置に構え神経を集中させる。
同じようにゆらりと身体を揺れさせ、身をかがめ…

「ふっ!!

ドンッ!と音と共に地を蹴り、瞬間岩の後ろに剣を振った状態で現れる。
岩には横薙ぎに剣筋を残し、そして岩は同じように複数に砕ける。

「重…でござるな。
「ああ、剣速に自分の体重、移動荷重全てを乗せ叩きつける。
「それだけでも十分な威力になると思うでござるが。
「移動が直線的すぎてそうもいかないのがな。

くくっと再度苦笑する二人。

「さしずめ、バッシュB…バッシュブレイクと言ったところでござるな。


「そう、バッシュには主にこの二つがある。

剣を地面に突き立て、アサシンクロスの方に向き直るロードナイト。

「後は簡単な話だ。1つ目のバッシュの気合が届くその瞬間、

左手の人差し指を目の前に持って行き、それを突きたて

「2つ目のバッシュで切り抜ける。

右手の人差し指を横に突きたて、二つをクロスさせる。

「こうすることで…同時に当たった箇所に数倍の威力の撃を発生させる。
「あっはっは!本当にロードナイトらしい豪快な考えでござるよ。
 …だが、出来れば……楽しみでござるな。
「ああ…速に頼る分、バッシュ程の命中精度は出せないと思うが、
 だが出来れば…。

互いの視を合わせ、シンと空気を張り詰めさせ……

「さしずめ、バッシュX…バッシュクロスでござる、な。

ふっ…とお互い顔を緩ませ軽く笑う。

「楽しみにしてるでござるよ。
「ああ、できたら即座見てもらおう。

視を外しどちらともなく歩を進めようとした瞬間、

「お兄様、お疲れ様です!

凛とした声が二人の間をかける。

「セニ……
「おお!これはこれはセ、ア…殿!お久しぶりでござるよ!
「あ!エレ、、様、お久しぶりです!お疲れ様です!

声をかけたのは、まだ年端もいかない女剣士。
そしてロードナイトの声を遮り剣士の前に現れるアサシンクロス。

「セニ……
「セニ、殿は今日も美しいでござるな…。
 ああそれはまさに一輪の華麗な花のようだ…でござる…。
「な、そんな…エ、、ス様何を…
「いいや本当のことでござるよ…その綺麗な髪…素敵な目…
 見るたびに拙者心を奪われる…そうになるでござる…。
「や、やめてください…そんな…

言いながらも頬を赤らめ恥ずかしそうにする剣士。

「セ……
「、ニア殿はまさに…華麗な花…そして、拙者の心を魅了する…毒…
 その毒に当てられ…拙者はもう蕩けてしまいそうだ…でござ…だ、ござるよ…。
 このまま拙者と一緒に…そうだな…ござ、えーと…
「……エレ、ス…
「なんでござるか!拙者今忙しいでござるよ!

後ろから聞こえる声の氷のような冷たさに、
はたしてアサシンクロスが気付いていたかどうか。

「…………
「拙者と一緒に…ココモビーチで、ヒトデをつつき…
 オッターと戯れる日々を送らないでござ…送らないか…、…ござ候…。
 セニ、殿と一緒なら…
「今すぐ……見せてやろう…
「セニ、殿と一緒なら拙者…この身投げ打ってでも…そう、今すぐ見せ…
 見せ、え?何を見せる?で、ござるか?

きょとんとしたアサシンクロスが後ろを振り向いたのが早かったか、
その鬼から放たれた一激目の気合が届くのが早かったか。

「バアアアアアアアァァァッシュ!!クロォォスッ!!!!
「アッーーーーーーー!!!!!!


これが後のボーリングバッシュである。

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