あぁ、ちょっとそこの君、待ちたまえ。
 そう、君。ハイウィザードの君だよ。
 別に取って喰ったりはしないのでそう硬くならずに…
 え?いつも槍を投げつけられてる?ハハハ…それは済まなかった
 今日は別に戦おうと思って呼び止めたわけじゃないのだよ。
 何、ちょっとしたアンケートに答えてもらおうと思ってね。

 単刀直入に聞こう。君は何故ウィザードになったのかね?
―――そうか、魔法が格好良かったからか、成る程な。
 だが格好良いと言うならば全ての職に言える事だろうな。
 暗殺者のように音も無く相手を仕留めるのが格好良いと思う者もいるだろうし
 遠距離から全く近づかせる事もなく、正確無比な射撃を素晴らしいと思う者も
 はたまた自分にとって大切な人を守ることが一番だと言う者もいるだろう。
 格好良いというのは、全てにおいて言える事なのだ。
 職業に貴賎無しというやつだな。ん?ちょっと違うか?

 ところでその…君の格好についてなんだが…うん。
 なんというか、無駄に色っぽいな。
 スカートは短いし、胸元は強調されているし。
 これは仲間のカトリーヌにも言える事なのだが、ハイウィザードというのは総じてスタイルが…
 っと、何故両腕で胸を隠して後ずさる!
 別に変な意味でじろじろと見ていたわけではないのだ。む、なんだその疑わしそうな目は。
 私は規律正しい騎士だ。その誇りにかけて、断じてそのような不埒な事など考えてはいない!

 …コホン
 つまりだ、本来、戦いにおいて肌を露出するということは、
 動きやすさを得る代わりに、弱点を曝け出しているということなのだ。
 俊敏な動きを必要とされるアサシンやハンターならば納得もいく。
 だが君はハイウィザードだ。仲間のカトリーヌも。
 何故だ?避ける魔導師はここに滅多に来ない上、主流では無いと聞くし…
―――そうだな、何故だと聞かれても君も困るか。
 ゲフェンのギルドで配布された制服だそうだな。全く、製作者の趣味が伺われるデザインだ。
 そういえば騎士団に居た頃、ロードナイトの衣装で揉めた経緯もあったな…いや、今はそれはどうでもいいか。

 本来、戦いに赴く者の装備というものは、もっと機能的であるべきなのだ。
 動きやすく、かつ装着者の危険を限りなく減らすものでなければならない。
 私の身に着けているこの鎧にしてもそうだ。
 耐久力を残したまま、極限まで軽量化してあり、関節部分を動かすにも殆ど支障が無い。
 ん?ニクヌキ?うーん…言っている意味が良く分からんが、まぁ同じことなのだろう。
 同様に私が最も評価している装備がある。
 何かって?うむ、君も一度は身に付けたことがあるはずだぞ?
 マジシャン?いや、違う。あのような露出だらけでハワードの下着のような腰巻等
 防具として主張されるだけでもおこがましい。
 ん?あぁ、そうなのか、魔力で防護されているからそうでもない、と。
 まぁいずれにしてもマジシャンでは無い。
 そう、お察しの通りだ。

 ノービスの身に着けている皮鎧。あれはいいものだ。
 冒険の初心者が身に付ける物としても最良のデザインだな。
 動きやすくなめした革に、体格に合わせたオーダーメイド製品。
 そしてあの背負うタイプの鞄も実に機能的だ!
 両手を自在に使え、バックパック性能も量的に十分!
 そしてなによりもあのX!Xだ!
 わかるか!あのXが!
 幼い身体に秘められた青い果実を強調させるあのX!
 あのXに加えて半ズボンだぞ!半ズボン!
 そう!神が我々(?)人類に与えし至高の完成品!
 それがノービス!ビバ!ノービス!ハイル!ノービぶべあぁっ!
 や、やめろカトリ!私はまだ語り足りない!あああぁストームガスト詠唱するなぁぁぁぁっ!

 セ…セイレン死すとも…ノビたんは死せず…ぐふっ


「…ごめんなさい…セイレンが暴走したみたい…同職のよしみで逃がしてあげるから…帰って。」



完全に凍結したセイレンを引きずって、彼女(カトリーヌ=ケイロン)は憮然とした面持ちで去っていきました。
しかし、物語はこれで終わったわけではありません。
世の中にロリコンが存在する限り、第二、第三のセイレンが現れることは想像に難くないでしょう。
それでも、我々は日々戦い続ける。この世にセイレンがある限り!





――――おしまい
SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送