ラウレルたち男子3人が大浴場から上がり、部屋の前で別れると、ふらりと別の方向へ1人
足を進めた。
女子部屋の側に行くと、アルマイアの部屋の前で足を止める。
ラウレルはやや緊張しながらも、拳を上げる。

コンコン

「はーい」
中から快活な少女の声が聞こえる。
「どなた?」
カチャリ、とドアが開くと、濃い目の金髪の少女は顔を出した。
「夜遅くすまねぇ。ちといいか?」
「あ、うん、大丈夫だよ」

ここで彼は気がついた。アルマイアの際どい格好にである。
それが寝巻きなのだろう、白いぶかぶかのシャツを着ている。シャツの襟から張りのある
素肌が見え、シャツの裾から下は、トリスのほっそりした足とは違う、むっちりとしかし
太くは無い肉感的な太腿―――スリッパまで素足である。
一応、来客ということで慌てて身に着けたのか、ミニスカートを履いているが、シャツの
裾が長すぎて履いているようには見えない。
シャツの上には薄いピンクのカーディガンを羽織っている。

アルマイアは、ラウレルがカヴァクと一緒にどういう趣味でどういう内容の会話をし、
どういう女性が好みなのか知っていたので、今ラウレルが彼女にかけている視線を避けるように
カーディガンの前を重ねるようにして胸の谷間を隠す。
「あ・・・・・・わりぃ」
「・・・・・・お茶でも出すわ。上がって」
夜遅くに女の部屋に男を上げることにためらいつつも、仲間を信じることにしたらしい。

「紅茶でいいかしら?」
「ああ、すまん。サンキュな」
個室の簡素な器具で湯を沸かし、カップを出している後姿がラウレルにも見える。
男性の常、というものか、ついその後姿に引き込まれるように見てしまう。
ラウレルの名誉のために記すが、彼は特別えろいわけではなく、一般的な男性と同レベルの
性的好奇心があるだけで、実際に女性陣の前に現すことは無い。
しかし、人並みに親しい女性が剥き出しのふとももを晒していればやはり気になるのが人情で
ある。それが彼の好みのスタイルであれば無理も無い。
アルマイアもそれを承知しているので、少し不愉快ながらも指摘しない。
「あんまり見るとお金取るわよ」
部屋に入れるときにそう言っただけである。

フローリングの床にクッションを置いて、テーブルを挟んで向かい合う。
「紅茶、冷めるわよ」
「ああ、いただく」
しばし紅茶の味を楽しんでいた2人だが、埒が明かないので、アルマイアが口を開く。
「どうしたの?こんな時間に」
「ん・・・・・・ああ」
ちょっと迷いつつも、口を開かないと相談にならないと話し始める。

「いや、な。お前の前で言うのも何なんだが・・・・・・最近ハワードさんの視線が怖くてな。
エレメスさんが2階に助けに来てるもんだから、それを追いかけるようにハワードさんも
来てるみたいなんだが・・・・・・俺らもやばいんじゃね?とか思ってさ・・・・・・ってピンクか」
あまりの相談内容に、アルマイアはずっこけると言った感じで後ろに倒れる。
その際、思いっきりラウレルの前で足を広げてしまったのだ。
「わ・・・・・・」
慌てて起き上がって前を隠す。遅いのだが。

「えっち」
「いや・・・・・・俺に言われても」
もっともである。
「うぅ〜」
ラウレルも困惑しながらも、あ、やべ、ちょっと可愛いかもとか思ってたりする。

「まあ、気を取り直して・・・・・・兄さんのアレ困ったものねぇ・・・・・・節操無いわけじゃないん
だけど・・・・・・ストライクゾーンに入ると我を忘れる人だから・・・・・・」
「まて、それを節操が無いと普通はいわねぇか?」
ラウレルの頬に冷や汗が流れる。
「一応、エレメスさん目当てだと思うけど、もし襲われたら逃げて。セイレンさんもいるから
何とかなると思う」
あまり解決になってないが、アルマイアはこれでも真剣に返したつもりである。

「・・・・・・逃げられると思うか?」
「え?」
いつの間にかラウレルがアルマイアの隣に迫ってきていた。
「こうやって襲われて、本当に逃げ切れると思うか?」
「え・・・・・・ちょっと・・・・・・ちょっとまって」
アルマイアはここに来て自分の愚かさに舌打ちする。そう、実際に襲われたら逃げ切れるものでは
ないのだ。
ラウレルに肩を掴まれる。
「あ・・・・・・」
床に押し倒される。
「や・・・・・・やめて・・・・・・」
アルマイアの瞳に困惑と涙が浮かぶ。

ラウレルは別に本当に襲うつもりだったわけではない。実際に襲ったら逃げられないと言うことを
知って欲しかっただけである。
しかし、アルマイアの魅力に当てられたのか、ちょっと勢いが付いてしまった。
「アルマ・・・・・・俺・・・・・・」
「い、いや・・・・・・」

「アルマは無事かぁぁぁぁぁぁ!」
バタン、と勢いよくドアを開け放ち、どうやって察知したのか、妹の危機に兄ハワード登場。
「げ!ハワードさん!?」
「に、兄さん・・・・・・来てくれたのね・・・・・・」
室内の2人は、どう見ても一方的な行為寸前である。

「ぬぅぅぅぅ!!アルマを泣かせやがってぇぇぇぇぇ!」
「え、いやこれちょっと違・・・・・・」
「来い!お前に漢の魂と言うものを叩き込んでやる!」
「イ、イヤァァァァァ!?た、助けてヘルプミィィィ!!」

なぜそこで顔を赤らめる兄さん、と思いつつアルマイアはラウレルのその後を考えると涙が
出てしまうのであった。

あとでカヴァクがセシルに聞いた情報では、ハワードに激しい折檻を受けた挙句、アルマイアに
手を出そうとしたとして、彼女と仲のいいカトリーヌ嬢が最大火力で蒸発寸前まで追い込んだとか。
その後、2階のみんなに余所余所しい態度を取られた挙句、アルマイアに冷たくされたラウレル君で
あったと。

合唱。


アルマ分投下です。
ハワード兄貴の愛を書いてみました(ちょっと違う?)。
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