ぱっと見、普段と変わらぬ朝―――
ジリジリジリジリ・・・
「ぅん〜・・・もう朝?」
時計が鳴るのを止めて、少女は体を起こす。
彼女――イグニゼム=セニアは真面目な性格で朝食の時間に遅れることはない。
とはいえ朝に強いわけでもなく、こうして着替えをしている時も頭は半分眠っている。
そのため違和感を感じつつも、いつものように鎧と剣を装備して鏡を見て・・・
「・・・ん?・・・ぇええええええええええええ!?!?」
違和感の正体に気付き、絶叫した。

セニアは急いで食堂へ向かう。ただし、普段とは異なりミニスカートで。
そう、彼女の服装は剣士のそれではなくロードナイトのものであった。
もちろん部屋中探したのだが、今脱いだパジャマを除けば全てロードナイトの正装しかなかった。
まさかパジャマで行くわけにもいかず、やむなく着替えている。
「と、とにかく原因を調べないと・・・ぅうぅうぅ〜〜〜」
今にも中が見えてしまいそうなミニスカートを気にしつつも、皆が揃うであろう
――この時間に居るのは聖職者の鑑のようなエベシと朝に強いトリスくらいだが――
食堂へ到着し、そして
「はぁはぁ・・・え?」
「あ、セニアおはよー・・・ってアンタもなのね」
「・・・お、おはようございます・・・ぅぅぅ」
アサシンクロス姿のトリスと何故か女性のハイプリースト姿のエベシを見て――
「えぇえええええええええええええええ!!!!」
再び絶叫した。

「・・・えっとつまり、総合すると・・・」
セニアは頭を抱えつつ、話を纏めてみた。
 1、2Fの皆の服装が2-1転生職のそれになっている。
 2、しかも全員が「女性用」の服装である。
「ということね・・・」
「まったく何が原因なんだか・・・」
と腕組みするトリス。結果として強調される胸。
「ト、トリス・・・」
「ちょ、ちょっとそれは・・・」
と、赤面するセニアとエベシ。セニアの顔に落胆の色が混ざるのは気のせいだろうか。
アサシンクロスの服装をしているトリスは、『非常にけしからん』の一言に尽きる。
しかもセニアと異なり、トリス自身は恥ずかしがることもなく堂々としている。
「原因はなんなんだか・・・困ったもんよね」
あまり困っているようには見えない。
「姉さんの仕業じゃないでしょうか?僕にこんな格好させる様な人なんて・・・」
と言う女性ハイプリースト姿のエベシ。顔を赤らめながら恥らう姿にははっきり言って全く違和感が無い。
気になるのかセニアは胸を見て
「あはははは・・・」
と乾いた笑いを漏らす。冷や汗がだらだら流れているが気にしてはいけない。彼女の為に。
「でもアタシとエベシとセニアは判るけどさ、あっちは説明付かないんじゃない?」
とトリスは横を見る。その先には
「さぁ同士よ、メロンパンの次はこの特大マシュマロだ!」
何故かやたらと胸のあるスナイパー姿のカヴァク(もちろん女性服)と
「おお!そんなものまで用意しているとは流石だなマイフレンド!」
と、胸からメロンパンを取り出しているラウレルが居る。
ラウレルが女性ハイウィザードの姿で食堂に来た最初のうちは
「何で俺がこんな格好してんだぁあああ!」
と周りに魔法乱射しかねないぶち切れっぷりだったが、直後に現れたカヴァクが
「オーケィまずは落ち着くんだ同士よ」
と後ろから抱きつき、胸を押し当てながら耳に息を吹きかけて
「当ててるのさ、今こそ自らの身でこの極上の価値を実現するべきではないかね?」
と囁いてからはどこかにイッてしまったらしい。
自分の胸に詰め物をしてあのように現実逃避をしている。
しかしカヴァクの胸からは何かを取り出す様子は無い。もしかして最初からあのサイズなのだろうか。
それに気付いたセニアの様子はまるで風に吹かれる柳のようだ。

「う〜ん・・・ところでアルマはまだでしょうか?」
「そういえばさすがに遅いかな、見てくる?」
今この場に居ないアルマは朝に弱い性質だが、さすがにこの時間帯になれば起きてくるはずである。
「あの・・・この様子だとアルマはきっとホワイトスミスの姿なんですよね?・・・だとしたら・・・」
とセニア。
「「あ〜・・・」」
とエベシとトリスは納得する。
かつてブラックスミスという職業が登場した当時、その転職資格を持った商人にはそのワイルドな服装に
反対する者も多く、ずっと商人の道を貫くものさえ出たらしい。
その信条をアルマも持っていたとすれば、ホワイトスミスの服装ではショックを受けるかもしれない。
「そうね、とりあえずしばらくは様子を見ようか。」
「でも本当に原因はなんなんでしょうか・・・?」
「僕はやっぱり姉さんが原因だと思うんですけど・・・」
よっぽど姉の悪癖に苦悩しているエベシは、トリスが疑問視したにも関わらず犯人マガレ説を譲らない。
「まぁ犯人についてはともかく、3Fの兄さんたちには伝えておいた方がいいかな?」
「そうですね・・・原因が判らない以上は兄上たちにも相談するべきでしょうし」
「じゃあ早速行こうか。」
「でもあの二人はどうします?」
「ほっといていいんじゃない?それともエベシ、アンタも混ざって豊胸しとく?」
「しませんよ!!」

「次はこの特大ゼリーだ!もちろん理想的な形状に整形済みだぞ!」
「おおー!やるじゃないか親友、この揺れ具合がたまらんぞ!」


……続く?
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