・・・・・正直疲れた。
ここ数日、研究室に篭りっぱなしだ。
給与がいいとしても、それを使う休日もくれないレッケンベル社に入社したのは間違いだったかもな。
しかもどれだけ運がないのやら。
毎日毎日、どこから連れてこられたのかもわからんガキを手術だ解剖だ改造だ・・・
神は信じない方だが、罰はあたりそうだ。いや、当たっても足りないんだろうがな。

今日は新しい強化の為の素体選びか。
鬱になりそうだな。
これから人でなくなる可哀相なガキを俺が選ぶのか・・・
でもやらなきゃ食えなくなる。
というか、やらなきゃ俺が消されるかもしれないよな。知っちゃいけないことを知ったってこのことか・・・

次回の実験は簡単言うと、人間の悪魔化
これまで、実験体のガキを化け物のように強い生き物にしてきた。
でも所詮人間。
如何に身体機能が高くとも、隙を突かれれば脆い。
脆いと言っても一般人がナイフで刺したくらいじゃビクともしないだろうが。
中には使ったものの精神力を消費して姿を見えなくする道具があるらしい。
それに対するモノを次回の実験で追加するらしい。
大まかな資料を見たが乗り気になれない。
人間だから反応できない。だから人間でなくす。
今までどんな酷い実験をしてきたかわかっているが、人であることは残してきた。
次のは人であることすら奪えと・・・
それでも上の人間がやれ言うのだから仕方ない。

さて、時間か。
死ぬより辛い現実突きつけられる可哀相なガキを・・・
ん?今日はガキじゃないのか?
研究所3Fでの素体から選ぶ・・・と。
3Fは俺ら2Fの素体と違って割りと年いってるんだな。
所見だし、一人ずつ見て行くか・・・

セシル=ディモンの審査
まずは女からっと。
俺だって男だ。男の身体なんかじろじろ見るより・・・女の・・・ん?
お前女だったのか。いや、線が細いがあまりの鉄板っぷりに一瞬男かと。
2Fでも一見女の子みたいな男の子の素体もいるしっってあぶねぇ!
心の声がホンモノの声となって出てたのか、急にブチ切れて暴れる素体。
やばい!こいつはやばい!既に悪魔超人だ。やめとこう。

カトリーヌ=ケイロンの審査
ふぅ・・・危なかった。3Fの奴らこんなのと一緒でよく生きてるな。
お、けっこうかわいいじゃんか。好みのタイプだな。
「ちょっと動いてくれないか?」
「あの・・・」
「ん?どうしたんだ?」
「動く為のエネルギーが不足してます」
「飯・・・か?」
こくこくと頷く。飯食わせ忘れ・・・はありえないし、どういうことだ。
「宿舎に帰ります。おやつの時間です」
いやまぁ3時だが、3Fじゃおやつが出るのか?研究員の俺にすら出ないのに。
つか今ここ抜けちゃまずいだろ。って言ってるのになんか詠唱してるしー!
「さーんだーすとーむー」
とことこと宿舎に帰っていった。
パスだパス。あんなん悪魔にできるか。

マーガレッタ=ソリンの審査
あれ?
そういやカトリーヌって娘、歩くエネルギーないのに歩いて帰ったな。もういいや。考えると頭が痛くなる。
「あの、私の出番でしょう?何かしますか?」
「あぁ、すまなかった。とりあえず立っててくれ」
カトリーヌとは違う物静かな女性だな。大人って感じがする。3F研究員が羨ましく・・・もねぇか。
前の2人に壁ぶち抜かれてるし。修繕費とかで俺の給料天引きだったら泣く。絶対泣く。
「お祈りですか・・・?」
「あぁ、すまなかった」
「気にしないで下さい。私も聖職者の身、祈りは毎日しております」
聖職者の披検体?マジで天罰下るぞこの会社・・・
「あー・・・なんか趣味とかあるの?」
意味ない質問。やっと普通の子が出てきて嬉しいんだ。
「趣味はかわいい男の子や女の子を・・・
パスだパス。既に悪魔の一線越えてるっつの。つか聖職者って嘘だろ。

エレメス=ガイルの審査
次は・・・男か。さっさと決めて終わりにしよう。疲れた。
待合室のような檻の方が五月蝿い。
すごく嫌な予感。
「や、やめるでござる!誰かここから!ここから出してー!」
逃げてる。いや、こっち来るな。ってか一人ずつ審査って聞いてないのか?なんか追走してるぞ。
「エレメスゥゥゥッ、ここが俺らのぉぉぉっ、愛の巣だっ!!」
「いやあぁぁぁっ、それはいやぁぁぁぁっ!」
なんか可哀相だ。よし、エレメス君。君合格。ついでに身を、いや貞操を守る為に光学迷彩機能も追加しとくよ。
って聞いてないね。後でそう報告行くようにしとくよ。

ハワード=アルトアイゼンの審査
あー、これは無理だ。
そういや3Fに転属した同僚が言ってたなぁ・・・
何故かハイドクリップの携帯を義務付けられた。と。
研究所の平和の為、こいつはパスだ。

セイレン=ウインザーの審査
審査するってかもうこいつで最後だからこれで決定でいいかな。
なんかずっと静かに待ってたみたいだし、暴れなければなんでもいいや。
「悪いけど、悪魔になってくれ」
「ん?悪魔だ?」
五月蝿い黙れハワード。ってかもうお前の番終わったから帰れ。
「ほぅ、悪魔に興味があるのか?そんなに俺の悪魔の角に興味があるのか?」
あるかんなもん!てか脱ぐな。
「警備さん!お願いします」
「おいおい、一気にこの人数はちっとばっかしきついぜ。だが、嬉しいじゃねぇか。」
何故に喜ぶ。
「私は一体どうすれば?」
あぁセイレン君。まだ居たの?
「君でいいよ。ごめんね」
「/?」

今日は疲れた。
一応、上にはエレメス=ガイル、セイレン=ウインザー両名の決定と伝えとかなくちゃな。
あと、いつか3Fに左遷なったら首吊る覚悟いるな。




「なぁ、エレメス」
「なんでござろう?セイレン殿」
「いや、瓦礫の下からこんなものが」
「強化プログラム?拙者とセイレン殿の?随分と昔のものでござるな」
「そうみたいだな・・・中にどんなものがあるのかわからないが、冒険者との戦いも厳しくなってきてる。これも必要になるかもな」
「そうでござるな。次の大型パッチのメンテでどうせ延長だろうし、ゆっくり見ることにするでござる」
「パッチとかメンテとか延長とか言うな」
「コレは失敬」
そして10月24日、生体悪魔化・・・するの?

終わり
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