「……これはなかなか。」
カトリーヌは一人ちゃぶ台に向かい、並べられた料理に舌鼓を打っていた。
トーストはすでに食べ終え、今は特製肉煮込み(推定5人前)を味わっている。
ハーブのいい香り、ほどよく柔らかくなった若芽。
その出汁の効いたスープとローヤルゼリーがよく染み込んだ肉。
一口ごとに舌から脳へ抜ける幸福感。でも、何か違和感がある。
書物で得た知識のみなので確信はもてないが、おそらくこれはレシピ以外の食材も加えられている。
(…ちょっとアレンジしてる?)
その食材が味をよくしているのは確かだ。自然と箸が進む。
しかしこれでは淡白なソースの分量が多くなってしまうのではないのだろうか。
おいしいのではあるのだけれど、自分の好みとは少し違う味だ。もう少し薄めのほうが・・・。
「…そうだ、手紙。」

彼女は箸を休め、料理の感想、味のこだわりなどを書き込んだ。
ポットからお茶を注ぎ、至福のひと時を堪能する。
みんなにも分けてあげたいくらいだが怪しんで誰も食べないだろう。特にセイレンがうるさそうだ。

自分もいつかは全ての料理を作ってみたい。
しかし料理本を持っていない彼女には調理できなかった。
これらの材料は珍しい物が多く、細かい調理方法がわからないのものある。
詳しい調理方法は料理本にしか書いていない。
大まかな調理方法は知っているのに――。
手紙を一瞥し、しばし黙考。
そして思い切って筆を走らせる。


『もしよければ料理本を譲ってください。それと次はフベルゲルミルの酒とカクテル・竜の吐息が飲みたいです。』


手紙を書き終え、ふと気が付く。どうやって手紙を出せばいいのだろう?
侵入者に手渡すわけにもいかないだろう。
しばし手紙をもてあそび、便箋に入れようとするがうまく入らない。便箋に何かが入っているようだ。
中を見ると蝶の羽が入っていた。
(…これで飛ばせってこと?)
こんなので手紙が届くのだろうか?
とりあえず蝶の羽を便箋に貼り付け床に置き、ロッドを思いきり叩いた。
彼女の予想とは裏腹に便箋は青い光に包まれて消えた。ちゃんと転送されたようだ。
それを見届けてから再び鍋に向かう。
はやく食べて食堂に向かわないと晩御飯に遅れてしまう。

箸に手を伸ばした瞬間、はじけるような金属音がした。
近くで誰かが侵入者と戦っているようだ。
「急がないと…。」
彼女は懐からタッパーを出すと鍋の残りを移し変え、その場を後にした。









|д゚) 続くかもしれない!!
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