「……おなかへった。」
カトリーヌはそう呟きながらいつもの巡回ルートをいつも通りに歩く。
もうそろそろ食事の時間だ。みんなと食べるごはんは日々の楽しみの一つでもある。
今日の調理当番はエレメス。彼は世界各地の料理に詳しくレパートリーが豊富、何よりおいしい。
どんな料理が出てくるのだろうと期待を膨らませつつサイトをたき、侵入者がいないか警戒する。

(……何だろう、いい香りがする…。)
しばらくすると見慣れたはずの通路に見慣れない物があった。
『それ』は不自然なまでに通路のど真ん中に存在した。
辺りに誰もいないか確認しつつ近づき、『それ』が何であるかに気がついた。
「……おいしそう。」
ちゃぶ台の上にあるトーストを見てカトリーヌはそう呟いた。

侵入者が逃げる際に料理を落としたのなら分かるが、いくらなんでもこれはないだろう。
ちゃぶ台の上にトーストというアンバランスさがまた怪しさを引き立てる。
(…でもおいしそう。)
その並べられた料理を見ていると自然に手が出てしまいそうだ。
「スペシャルトースト…。」
視線の先にはかなり大きいトースト。
自分はまだ食べたことが無いが料理に関する書物で何度か見たことがある。
カトリーヌは隣にあるティーカップを手に取り、琥珀色の液体をまじまじと見つめた。
間違いない。王室専用の高級茶だ。特製肉煮込みまである。
ここにいてはまず食べられない品物だ。

ふと、ちゃぶ台の上に紙切れがあるのに気が付く。
それには癖の強い字でこう書いてあった。


『料理の感想をお聞かせください。今後の参考にします。』


ご丁寧に返信用の手紙まで付いている。
明らかに罠だ。
そもそも今後の参考とはなんだ。
そう結論付けるが、食べたことの無い物への知的好奇心と空腹感が理性に強烈なダブルラリアットを見舞った。
カトリーヌの中で理性がもんどりうって倒れる。

「……食べちゃえ。」
カトリーヌは迷わずトーストを頬張った。











|д゚)<続くかもしれない!!
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