ある朝のこと、セイレン=ウィンザーは戸惑っていた。
セイレン「何故だ…何が起きたんだ…なんで」
目が覚めて何度目かの「何故」を呟きつつがしがしと寝癖のついた頭をかく。

セイレン「なんでセニアが俺のベッドで寝ているんだ…っ」
以下、セイレンの思考。
(OKとりあえず落ち着け…俺は何も間違いは犯していないだろうな!?というかこの後どうする!
どうするよ俺!皆にバレたらろくでもないことになるのは間違いないだろうし下手をすればセニアに嫌われるかもしれない…
それだけは避けなければ、しかし一体どういうことなんだ)
数秒ほど思考を停止させ
セイレン「もしかしてもう悪魔化パッチ来たのか?」

昨夜のことを思い出す。
皆が食堂で酒盛りをしていて、セイレンは一杯目で酔い潰れて自室に戻り眠りについたはずだった。
そして目が覚めるとセニアが天使すら霞むような寝顔でしかも隣でスヤスヤと気持ちよさそうに寝ていた。
こんな状況を見られたら何と言われるだろうか。
セイレン「言われるだけじゃ済まないだろうな…」
まるで死人のような縁起の悪い顔でため息をつく。
まずセシルに矢騎士にされるのは安易に想像できた。
マーガレッタは鈍器を携えてニコニコと恐ろしい微笑みを浮かべるだろう。

そんなことを想像し、滝のような汗を流していると後ろからガラスの割れる音がした。
エレメス「二日酔いの薬を持ってきたでござるが…元気そうで安心したでござる」
セイレン「違う!断じて違う!!お前が想像してるようなことは一切していない!」
エレメス「妹に手を出すのは不味いと思うでござるよ?」
セイレン「真顔で言うな!俺の話を聞けぇぇぇえっ!」
落としたコップの破片を拾い終えたエレメスは廊下の方を向き、すぅっと息を吸い
エレメス「今夜はお赤飯でござるー!!」
叫びながら走り出した。
セイレン「エレメス貴様ぁっ!待てええええええ!!」

あれだけ騒いだというのにセニアは目を覚まさなかった。
セイレン「セニア、起きてくれそして事情を説明してくれ」
涙目になりつつユサユサと軽くセニアの肩をゆする。
セニア「ん…?むぅ…」
だが、もぞもぞと寝返りをうって再び眠り続け起きる気配がない。
(こんなセニアも萌えr…)
セイレン「…はっ!?俺はいったい何を…!?」
ずどどどどどどど…
猛牛の群れが走ってくるような音がして、
セシル「セイレンー!あんたってやつはぁぁああ!」
怒号とともに矢が飛んでくる。(AA略
おそらくエレメスが言いふらし終わったのだろう。
心の中でエレメスに復讐を誓いつつ、セイレンは意識を失った。

ハワード「怖ぇな…」
エレメス「そうでござるな」
少しはなれたところでハワードは呟いた。
そこは一言で言えば地獄だった。
想像通りマーガレッタは鈍器を携えながら天使と悪魔が同居していそうな笑みを浮かべ、
セシルはセイレンをたわしのような姿にしてもまだ足りないと言わんばかりに弓矢を握りしめ、
カトリーヌはいつでもストームガストを詠唱できる体制に入っている。
その中心にセイレンはいた。ロープでグルグル巻きにされた姿で
セイレン「だから何度も言っているように誤解だ」
数秒間の沈黙
カトリーヌ「日頃の…行いのせい…」
うんうんとセイレン以外がうなずいた。
セイレン「待て待て待て、お前ら俺をそんな風に見ていたのか」
マーガレッタ「ロリコンで」
セシル「シスコンでしょ?」
セイレン「ぐっ…」

セニア「おはようございま…これは一体何事ですか?」
ハワード「おう、おはようさん…実はな」
説明中−しばらくお待ちください。
ハワード「ってなわけで説明頼む、そろそろセイレンが原型とどめなくなりそうだ」
セニア「はい、昨夜エレメスさんが二階に忘れ物をしたので届けにきたんです」
コソコソとエレメスが逃げ出そうとクローキングをする。
カトリーヌ「…サイト」
マーガレッタ「ルアフ」
だがあっさりと炙り出され、
セシル「確保!」
ハワード「了解っ!」
ハワードブリーカーの餌食となった。
マーガレッタ「さ、気にせず続きを」
セニア「えっと、届けた後に…エレメスさんにお酒を勧められて、その、つい…」
マーガレッタ「飲んでしまった、と」
セニア「…はい、目が覚めたら兄さまのベッドで寝てました」
セシル「と、いうことは」
マーガレッタ「この騒ぎの原因は…」
セイレン「貴様かエレメス…!」
ズドンっ!という音と共にセイレンを縛っていたロープが千切れ飛ぶ。
セイレンはセシルとマーガレッタがセニアを避難させたのを確認して槍を構えた。
エレメス「ちょwその槍はなんでござるか、ちょっとしたお茶目な悪戯のつもりで…」
セイレン「しかもセニアに酒を飲ませただと…?」
エレメス「最近拙者こんな役回りばかりでござるよ!?」
セイレン「聞く耳もたん!」
エレメス「その馬鹿力で、しかもこの距離でスピアブーメランなんてしたら拙者化け物のエサみたいになってしまうでござるよ!?」
そして、暗殺者の断末魔が響き渡る。
今日も生体工学研究所は平和です。
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