・生体名作童話 『正直者の騎士』



よいこのみんな、おやすみの時間だよ。
カヴァクおねえさんがご本を読んであげるね。

「って、お前、男だろうがっ!」

ふふふ、何を言っているんだい、ラウレルくん。
僕は前から女の子だったじゃないか。僕のジプシー姿を見て興奮してたじゃないか。
いや、それだけに飽き足らず僕をベッドに押し倒し天井のシミを数えさせたのはどこの誰d

「な、何を言ってやがるっ!? おい、そこっ! モニターの前の貴様! こいつの戯言を信じるんじゃねええっ!!」

はははは。やーい、ラウレルの鬼畜ー。
さぁ、よいこのみんな、傾注だよー。

「だから無視するんじゃねえええええええっっ!!!」


■■■


昔々、あるところにセイレンという名の正直者の騎士がおりました。
ローティーンの女の子が好きというペド趣味の変態の上に妹を溺愛する欠点がありましたが、彼は強い騎士でした。
しかし、正直者がゆえに金策に疎く、いつも貧乏で未精錬のクレイモアで敵と戦う毎日でした。


ある日のこと、散歩に出かけたセイレンは森の中で綺麗な泉を見つけました。

「ほう。こんなところに泉が……静かで景色もいい。今度は皆を連れて来ようかな」

水面はまるで鏡のようにきらきらと輝いて美しく、セイレンは思わず覗き込んでしまいました。

「あっ!」

いつものセイレンらしくありませんが、泉の美しさに心取られていたせいでしょう。
彼は愛用のクレイモアを泉の中に落としてしまいました。

「ああ、どうしよう……あれがなければ明日から、一人素手殴り祭りだ……」

ほとりで落ち込んでいたセイレンでしたが、ふと泉が細波だっているのに気が付きました。
何事かと身構える彼の前に、泉の中から神々しいオーラをまとった一人の少女が現れました。

「……セニア?」
「ち、違います」
「いや……どうみても、セニアだと思うんだが……」
「違うといったら違うのです。私は泉の女神です」

長い黒髪で剣士の服装をしてはいますが、泉から現れたのは女神でした。
お兄ちゃん大好きで毎晩お兄ちゃんの写真におやすみのチュウをしてから――ああこれ以上は言えません。
彼女の名誉にかかわることです。
クリティカルスラッシュが怖いとか本気モードのバッシュが恐ろしいとか、そういったわけじゃありません。
具体的には言えませんが、来るべき決戦のときを想定してシャドウに打ち込むのは戦士としてのたしなみなのです。
セイレンさんは夜中にこっそりセニアのお部屋にお邪魔すると良いと思います。

「カヴァクッ! 後で覚えておけっ!!」

おお、怖い。
そんな怖い女神様ですが、呆然としているセイレンには極上で最高の笑顔を見せております。
女神様は片手ずつに剣を持ち、セイレンに語り掛けました。

「あに……ごほん――ええと、騎士殿。あなたが落とされたのはこのエクスキューショナーですか?」
「いや、そんな魔剣じゃなくて、もっと微妙なのだ」
「では、こちらのドラゴンキラーですか?」
「……それも微妙といえば微妙なんだが、それでもないんだよ」
「では、この使い古しのクレイモアですか?」
「おお。それだよそれ。助かったよ、セニア」
「だ、だからっ、私はセニアじゃなくて泉の女神――」
「ありがとう、セニア」

クレイモアを受け取ったセイレンは爽やかに微笑みました。
ハートにズキュゥゥゥン!!の属性攻撃にセニア……もとい、泉の女神様は茹ダコみたいに真っ赤です。

「あ……はい……ええと、その……騎士殿は正直者なので、ご褒美にこの魔剣と龍殺しも差し上げます!」

と、あわてて二本の剣をセイレンに押し付け、泉の中に潜っていってしまいました。




町に帰ったセイレンは、隣に住んでいる鍛冶師のハワードにこの話を聞かせました。

「ほう。そいつはいいことを聞いたぜ」

イイコトを思いついたハワードはさっそく、二軒隣りに住んでいる暗殺者のエレメスの家に殴り込みをかけました。

「ちょwwww何事でゴザルかwwwww!!」
「ハンマーフォール!」

ぴーよぴーよ。
スタンしたエレメスを縄で縛り上げ、ハワードはセイレンに聞いた森の泉にエレメスを投げ込みました。

「やめるでゴザルよハワード拙者を綿流しの生け贄にしてもアルマの金遣いの荒さは治らながぼごぼ――!」
「はっはっは。それはもう諦めてるから心配するな」
「ごぼごぼぐばごぶぼー!(爽やかに笑ってないで助けるでゴザルー!)」
「しかし、おつなもんだな。苦しそうにしているエレメスの顔も…………ぬふぅ」
「ごぼごぼっ!?ぼぐぼごぶごぶっぼごぼぼぼぼっ!(じ、自家発電!? 直接犯られるよりも精神的にキツいでゴザルー!)」

と、騒いでいたのも束の間。
エレメスはがぼがぼと盛大に泡を立てながら、泉の中に沈んでいきました。
そして待つことしばし。
泉の中から、セニアそっくりの泉の女神が現れました。

「あの……これ、を落としたのはアナタ、ですか?」
「ハワード……や ら な い か」

これ、といって女神が指差したのはノンケでも喰っちまいそうな、いい男のエレメスでした。
もちろん、いい男が好物のハワードが黙っているわけもなく。

「グリード!グリード!」

電光石火の早業で、女神の手からエレメス(いい男)をひったくると森の奥へカートブーストで突っ走っていきました。
何人たりとも前を走らせない勢いです。
女神様は呆然と、その後姿を眺めることしか出来ませんでした。



その日、森では一晩中、

「「アッーーーーーー!!!」」

という楽しげな叫びが響き渡って近所迷惑だったとさ。


教訓。
ハワードの欲望には、誰も勝てない。


■■■


おまけ



「ちょwww拙者は没シュートでござるかwwww!?」

♪ちゃらっちゃらちゃ〜ん
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