マーガレッタ=ソリンには悩みがあった。
別にエレメスに言い寄られるのが嫌というわけではない。
セシルに邪険にされるのは、むしろ可愛いとさえ思う。

彼女の愛してやまないイレンド=エベシが弟であるということである。
それが果たして、恋愛感情かどうかは彼女にもわからない。
ただ、イレンドにとって姉は姉であって、彼が仲良くなる女性は他にいるということ。
マーガレッタにはそれを止めることができない。
物凄く嫉妬してたりはするのだが。

それでも今までは、さほど気に病むことは無かった。
しかし、先日、カトリーヌがアルマイアと仲良くなったときの話をしていたとき。
「・・・・・・イレンドの寝起きが・・・・・・」
可愛いとか面白いとかカトリーヌは評していたのだが、マーガレッタの耳には弟の寝起きを
他の女性に見られていたことが、この上ないショックだったのだ。
しかもアルマイアは毎朝イレンドを起こしているのだという。

「許せませんわ!」
部屋に戻ったマーガレッタは、自分が滅多に見たことが無いイレンドの寝起きを見ている
アルマイアに対抗心を燃やしたのだ。別に危害を加えるつもりは無いが。
「明日こそはわたくしがイレンドを起こしに参ります!」
壁に向かって強く宣言すると、愛用のネグリジェに着替え、さっさとベッドに入る。

「・・・・・・マーガレッタ。起きて。朝」
「はっ!?」
昨晩の意気込みはどこへやら。
マーガレッタは低血圧だった。

それでも聖職者らしい朝のお祈りを、イレンドと一緒にしようと2階に向かうのだが・・・・・・
「あ、姉さん。おはようございます。え?お祈りですか?もう済ませましたけど・・・・・・?」
「あ、そ、そう、そうですわよね・・・・・・」
乾いた笑いを浮かべつつ、ちょっと言葉が怪しくなりながら珍しくあっさり引き下がり、
自室に戻るとベッドで1人むせび泣くのだった。

「・・・・・・ということがあったんだけど、なんだったんだろう?」
イレンドは通りすがるアルマイアを呼び止め、あまり期待はしていなかったが聞いてみた。
「ん〜・・・・・・マーガレッタさんにしては随分あっさり諦めたものね?」
「だよねぇ・・・・・・」
「お、ご両人。仲がいいねぇ」
そこをカヴァクが見つけ、会話に加わる。

「俺には少しわかるような気がするぞ」
「というと?」
「普段はイレンドを玩具にしているようだが、マーガレッタさんは彼女なりにイレンドを
大切に思っているんだろう」
「いや・・・・・・それはわかっているけど・・・・・・なんであっさり引き下がったのかが・・・・・・」
わかっていたつもりでも、他人に指摘されるとイレンドの頬は赤く染まるのだった。
「つまりだ。嫌われたくなかった、いや違うな。鬱陶しがられたくなかった、と見ている」
「益々判らないわよ・・・・・・」
アルマイアの言うことももっともである。今更そんなことを気にするような玩具振りでは
無かったのだから。
「つまりだ、今までのままではイレンドを独占できなくなったということを理解したのでは
ないだろうか?」
「へ?」
「最近、イレンドはアルマとトリス、随分と距離を縮めているようだからな」

「なななななななな!?」
アルマイアとイレンドの声が重なり、ちょっとあたふたするのが、カヴァクには非常に
興味深く感じる。
「つまりだ。対抗心、軽い嫉妬というところではないかな?」
「・・・・・・根拠は何よ?」
カヴァクは自分の真後ろの壁の方を指で示す。

「あ・・・・・・姉さん」
「ストーカーか、あの人は・・・・・・」
壁の影からこちらを伺っているマーガレッタの姿があった。
「俺が加わっていたからいいようなものの、さっきまでの2人のままだったら、彼女、暴走
していたんじゃないのか?」
さり気無くぞっとするようなことを言ってのける。
結局マーガレッタを呼んでみることになった。

「だって・・・・・・羨ましかったんですもの・・・・・・」
顔を真っ赤にして、俯きながらぼそぼそと話すマーガレッタを見ると、とても年長者とは
思えない。
うんうん、と頷くカヴァク。意外と全てを見通しているのかもしれない。
「わたくしももっと、イレンドと楽しく過ごしたいですわ・・・・・・」
やや腰を曲げ(マーガレッタはイレンドよりわずかに背が高いため)、涙を目に貯め、赤面
して見上げる彼女を見ると、アルマイアから見ても凶悪に可愛いと思ってしまうのだった。
普段の言動からすると、その希望は果てしなく理不尽なのだが。
ちなみにカヴァクの視点は、腰を曲げ、突き出されたお尻とさらに露出が増したスリットの
辺りである。誰も気づかないが。

何気なく解決してるような、して無いような午後であった。

問題は、マーガレッタまでも2階にちょくちょく現れるようになり、なぜか2階女子にまで
その手を伸ばしているようなことであった。
セシルの被害ほどではないが、セニアにキスの嵐を浴びせたり、トリスと下着談義をしたり、
アルマイアに抱きついたりと。

「ラウレル。俺たちは理想郷を発見したぞ」
「ああ・・・・・・素晴らしいぞカヴァク。俺は生きててよかった・・・・・・」


アルマ分投下・・・・・・しかし微量。
マガレ作品がライナースに関することだけでは寂しいと思い書いてみました。
なんとなく、アルマは抱きつきやすいイメージだったりします。
セニアは小動物っぽい可愛がり方されやすそう。
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