日曜日の午後、皆買出し等に出かけているため、本日のお昼ご飯は各自で確保しなければならない
ハワードとカトリーヌ殿は一緒に買出しに行ったので、あちらで外食をしてくるはずだ。
買出しは当番制で本来はランダムなのが、暗黙の了解でカトリーヌと一緒に買出しに行くのはハワードと決まっている。

エレメスは特に行く場所が無いのでお留守番。昼食の当番は・・・ハワード(不在)
当番ではないので全員分の昼食を作る必要はない、という事で食料貯蔵庫から食材を少し失敬して
・・・豚肉、キャベツ、小麦粉、卵・・・たまねぎ・・・こんなもんで良いか
戦利品を抱え、鼻歌を歌いながら自室に戻る。
各部屋に設置されている小さ目の台所に戦利品を置き、本日のメニューを確認する

「今日のお昼は・・・お好み焼きでござるw!」

お箸を使えない者が数名存在するため、純粋な郷土料理を食卓に出さないようにしてきたのだが
自分の分だけを作るなら関係無い。そういえば飲みかけのお酒も少し残っていたはず・・・
昼から一杯ひっかけるのは贅沢だが、たまにはよかろう
これは闇の商売人アルマイア殿に頼んで入手した東側のアルコール
低温庫から「ビール」と「焼酎」を取り出しちゃぶ台に並べる

「西の食卓とは違う、これこそ拙者の求めていた東洋の美!風情のある食卓でござるよw」

一通り観賞を終えるとエプロンを付け再び炊事場に向き返る。いざ!東洋の神秘を再び
まずはキャベツか・・・何種類か調理法が存在するが、そこまで拘る必要も無いので何も考えずに包丁を入れていく

コンコン・・・ガチャガチャ・・・・(シーン)・・・?

「・・・LA!HL!」
「ごふっw!せっw拙者の部屋のドアノブがぁぁぁぁあああああっw!」

部屋入口のドアノブがホーリーライトにより吹き飛ぶ!ドアノブは端の方に無残に転がり、十字型の煙があがっている

「けほっけほっ・・・あら?エレメス♪ごきげんよう」

爆煙の中から赤い服に包まれた女性、全ての元凶マーガレッタ=ソリンが現れる。
彼女は片手を顔の横でひらひらさせながら、まるで何事も無かったかのような振る舞いでエレメスに笑顔を送る・・・

「ねぇーエレメス?おなかすいた」
「姫wそれはカトリーヌ殿の台詞でござるよw」

戦闘時に様々な面で支援を行い完璧な人間のように見えるマーガレッタだが、実は何点かの欠点も持ち合わせている
もうお気づきだと思われるが、実は調理が大の苦手であり、その腕前はセシルとTOPの座を争う程とか・・・
マーガレッタは玄関で靴を脱ぎ捨てると、まるでそうする事が当たり前であるかのようにちゃぶ台の前に座り込む

「姫w女の子があぐらというのは色々と問題があるでござるよw」
「えー良いじゃない。どうせエレメス以外誰も居ないんだし」
「いや、その目の毒というか何というか・・・」

プリーストの服装の関係で、その座り方だとスリットの隙間から完全に太ももが見えてしまい、その何というか際どい!
エレメスの忠告を無視し(カシュッ)台の上に置かれた缶を手に取りマーガレッタは一気に中身を飲み込む
なぜこの酒好き女が聖職者などになったのだろう?つくづく世の中はわからないものである

「ぷっはー♪・・・ねーエレメスぅー私おなかすいたぁー」
「今作るゆえwスカートの裾をパタパタするのは止めるでござるw」

マーガレッタはカトリーヌのように大食い体質ではない為、先ほど持ってきた食材だけで二人分ギリギリ作れるかもしれない
背後で食前酒を楽しむ姫は無視して、調理を再開する。消化の為にもう少し細かく切っておくか・・・
集中した後の作業は思っていたより早かった。切った物を混ぜて熱くなった鉄板の上に薄く延ばす。
ソースとマヨネーズをかけ、鰹節を軽くふりかけ一枚目完成。青海苔が足りないが無いものは無い。

「できたでござるよw」
「早いじゃない、もしかして私がエレメスの分取っちゃった?」
「まだ沢山作れるから拙者の事は気にせず、姫は先に食べておくでござるw」
「ん♪いただきまーす」

箸の使えない姫の為、フォークとナイフを渡したのだが。この図柄は・・・先ほどまでの東洋の美が台無しだw・・・
しかし、アツアツのお好み焼きを幸せそうに口に運ぶマーガレッタを見ていると、それでも良い気がしてくる
大事なのは美味しいものを美味しく食べる心。という事にしておくか
鉄板の上で数枚のストックを作成し、エレメスもちゃぶ台に向かった。

「エレメスこのお酒は何?飲まないの?」

指差された焼酎は、黒糖焼酎「里のまけぼの」・・・色の黒い砂糖を原料とした東の国のアルコールである

「さ、里のまけぼの?」
「その酒は、毎年年末に東の国で開催される年越し格闘技で連続出場を誇る格闘家をモチーフにした限定品でござるw」
「へー格闘家なんだ、東の格闘技って空手?」
「相撲レスラーでござるよw」

グラスに氷を入れ少しだけ中身を注ぎ、飲みやすいように水で薄める。
マーガレッタは渡されたグラスを味見もせずに口をつけた

「☆$#*ッ!何よこれ・・・っ」
「姫にはあわなかったでござるか、これは少しずつ時間をかけて楽しむ酒でござるw」

マーガレッタは口を尖らせエレメスを睨む。その頬が早くも赤く染まり始めているのはビールのせいか?
言われるまま今度は少しだけ舐めるようにグラスに口を運んでみる

「あら?・・美味しいかも♪」
「おや?姫もいける口でござるかw」

食卓を挟んで向かい合っての食事。この微妙な距離感覚が心地よい

「相撲レスラーね・・・・エレメス相撲しようか」
「ぶっw」
「冗談よw何本気にしてんだか♪もう・・・」

口の中にあったお好み焼きを思わず噴き出してしまう。何を突然・・

「エレメス。私たち二人の関係ってもう昔みたいには戻れないのかな」
「・・・」

場に沈黙が流れる。何か言わなければ。このような時に限って別の話題が思いつかない
正面には真っ直ぐ見つめてくるマーガレッタの視線、この空気はまずい

「姫は今酔っているでござる、少し落ち着くまで・・・」
「酔わなきゃこんな事言えないわよ!今までだってずっと、ずぅぅぅーっと我慢してたんだから!」

マーガレッタとエレメスが付き合っていたのは遠い昔。まだ転生などする前の時代
最初に告白をしたのはエレメスであり、当時のマーガレッタはそれを受けた。
しかしマーガレッタの周囲には輝く世界が満ち溢れていた
その輝きを掴む為に、マーガレッタはその関係を打ち破った

「もうやり直せないの?私まだ指輪大事に持ってるわよ?」
「拙者はその、困ったでござるな」

もう晩飯どころではない。何でこんな流れになってしまったんだ?

「セシルの方がいいの?私よりセシルの方がいいんだ?」
「な、何を突然!セシル殿とは・・・」
「じゃ何なのよ!私が気づいてないと思ってるの!?あなた達仲いいじゃない!
 あの子、私の幼馴染みのセイレンだけ足りないでエレメスまで取って!」
「誤解でござるよ、セシル殿は・・・トリスと同じ妹みたいな感じがするゆえ」
「・・・どうせ嘘でしょ」

台を挟んで反対側に居たはずのマーガレッタが、すぐ隣にまで詰め寄っていた。
大きな瞳に涙を浮かべて顔を寄せてきている、
アルコールで少し赤くなった頬が涙のせいかさらに赤く染まっていた

「嘘じゃないでござるよ」
「・・・本当に?信じていいの?」

押し倒さんばかりの勢いでマーガレッタはエレメスに詰め寄る。

「お願いエレメス。私に昔の続きをやり直させて・・・」
「拙者で本当に良かったでござるか?」
「ちょっと役不足だけど我慢してあげる♪」
「姫wひどすw」

泣きそうな顔のまま微笑むマーガレッタを、押し倒されそうな構図のまま抱き寄せる。この構図はちょっとカッコ悪いかな

「エレメスにこうやって抱いて貰うの久しぶり♪あ、そうだ!仲直りの記念に一緒に寝ましょうか♪」
「ちょw流石にそこまで心の準備はできないでござるよw」

エレメスは咄嗟にクローキングで姿を隠した

「・・・意気地なし・・・ふふふっ♪でもエレメス?もう逃がさないから♪浮気しないでよね?」
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