「……死ぬかと思った。」
「ええ、本当に……。」
セイレンとマーガレッタは心底疲れた顔をして座りこんでいた。
ことの経緯を説明すると彼らはつい先ほどまでハワードとカトリーヌが拾ってきた少女を
2階の弟妹たちも交えてどうするかという話し合いをしていた。
とは言うものの、こんな珍しく可愛らしい侵入者など今までいなかったもので
はじめのうちは話し合いになどならなかった。
しかもその少女がセイレンとマーガレッタのことを『お父さん』『お母さん』などと呼ぶので
二人はそういう関係だったのか、いつのまに作ったんんだとからかいと冷やかしでかなり時間をとった。
だが、問題はその後だった。
「セイレン、あなた妹の教育思いっきり間違ったんじゃない?」
「いや、それたぶん俺のせいじゃない」
簡単にいうとセイレンとマーガレッタはMVP化したセニアに殺されかけた。
ブラコンもそこまで行くと笑えない。
「それで、これからどうする?」
「どうって……巡回いくしかないじゃない。3階を4人体制はかなり無謀よ?」
「そうだな……で、この子……フィリスはどうするんだ?」
「どうって……置いていくしかないんじゃないの?」
二人とも普段の言葉遣いとはずいぶん異なる(実はこれが彼らの素である)口調で話す。
セイレンもこの少女、フィリスは自分の部屋かマーガレッタの部屋に置いていくと考えていたのだが、
「よし、マガレ。まずフィリスを自分から離してみようか?」
「ごめん、それは無理。」
「だろうな。無論俺も無理だ。」
フィリスはマーガレッタの膝の上に乗り、その豊満な胸に顔を埋めて眠っている。
離してここに置きっぱなしにしておけば、目が覚めたときに大泣きするだろう。
子供好きの二人にこの幸せそうなフィリスを引き剥がすことなど出来なかった。
「しかたない、皆には悪いが今日は4人体制でがんばってもらおう。」
「そうね、みんなには悪いけど……ところで聞きたいことがあるんだけど?」
「奇遇だな、俺も聞きたいことがある。しかもお互い同じ内容だろう?」
「そうね……せっかくだから二人一緒にいいましょうか?」
そのマーガレッタの提案にセイレンは軽くうなずき、軽く息を吸った。
マーガレッタも胸の中のフィリスをなでながら軽く息を吸い、そして
「「なんでお互い暴走しない(んだ?/の?)」」
まったく同じタイミングで二人は同じことを聞いた。



上のやり取りから30分後――3階:エレメス&セシルペア――
「と、いうわけで今日3階は4人体制、二人一組、拙者とセシル殿、
 ハワード殿とカトリ殿の組み合わせで巡回することになったでござるよw」
「あんた誰に向かって言ってんの?」
「半ナレーションでござるから軽く流して欲しいでござる ( ´ ・ ω ・ ` ) 」
「んじゃ流すけど……前のハワードとカトリといい、今回のセイレンとマガレいいベビーブームなの?」
「そうなると次は拙者とセシル殿ということになるのでござるが……」
「なっ!?だ、だれがあんたなんかと!!(////」
「そうでござるな。そもそも拙者には姫がいるでござるw」
「っ!!」DSDSDSDS…
「ちょwwwセシル殿なにするでござるか!?」
「うるさい!うるさい!!うるさい!!!うるさーーーい!!!!」
「ぎゃーーーー!!!でござるーーーー!!!」


同時刻――3階:ハワード&カトリーヌペア――
「いや〜、今日はお客さん少なくて助かったぜ〜。」
「(こくこく)助かる。」
「しかし、まああの子……フィリスだったか?なんなんだろうな?」
「ん〜……わかんない……けど」
「けど?」
「今のセイレンとマガレにまかせておけば…大丈夫…」
「だな。これを機にあいつらが普通に戻ってくれるとアルマたちの危険がなくなっていいんだが……」
「……やっぱり…かわいいよね?」
「ん?ああ、そうだな。」
「……やっぱり…子供欲しいな……」
「Σ(; ゚ Д ゚ )」
「……今度…プロンテラとか行ったら…攫ってこようかな……」
「はぁあああ!?」
「…………………………冗談」
「なに!?その長い間はなに!?」


同時刻――2階:セニア達――
「うわーーー!!」
「きゃーーー!!」
「うわ〜、今日は3階にいける人いそうにないね。」
まるでポリンか何かのように散っていく冒険者をみながらアルマイアはつぶやいた。
「そうね〜。まあ、セイレンさんとマガレさん殺しかけたんだし当然?」
「ですね〜。それに僕たちもついてますし、今のセニアさんなら大抵の冒険者なら返り討ちですよ。」
「だが、しかし。イレンドも含めてやること無くないか?」
カヴァクの言うとおり今のセニアは目に入る冒険者を「サーチ・アンド・デストロイ」状態で、
しかも、ダメージを受けることなく瞬殺してしまうので取り巻きをやっている彼らはすることが無かった。
このままだと2階の必要な施設まで壊しちゃうな〜、と全員が思っているのだが、
今のセニアにそんなことを言うのは、よほどの馬鹿か自殺志願者のどちらかだ。
ただし、ラウレルを除いて。
「落ち着けセニアーーー!!お前このままだと2階の施設までぶっ壊すだろうがーーー!!」
「ラウレルはカトリさんにいきなり子供が出来てても落ち着いていられる!?」
「そ、それは……!!」
「そのことを兄上に追求してたらフィリスに『あのお姉ちゃん怖い』って言われて冷静でいられる!?」
「く……!!」
「挙句の果てには『フィリスの面倒見ないといけないから今日はマーガレッタと二人で休ませてもらう』
 なんてことを言われていつもどおりでいられる!?」
もはやラウレルに言えることなどなかった。
性分なのか、頭の中でセイレンとマーガレッタをハワードとカトリーヌに変えて
今朝起こった出来事を忠実に再現してしまったものだから、彼もまたブチキレ寸前。
ちなみに後ろで傍観していたトリスとアルマイアも想像してしまったのか
二人もまたいつもとは違うオーラのようなものをまとっている。
「わかった、セニア。もう止めない。だが、お前が変なことを行った所為で
 俺も変な気分になっちまった。」
「あら?奇遇ね〜。わたしもよ。」
「ここは皆で仲良く、いつも以上に連携して冒険者倒さないとね〜w」
「そうね……たしかに一人で突っ走り過ぎてた。ごめん。よぉし!!これからみんなでぶちのめすよーーー!!」
「「「おおー!!」」」
「なあ、イレンド。今日俺の仕事なさそうなんだが……」
「うん、僕も仕事あるかどうか微妙だよ。支援もいらなそうだし……」
一致団結する4人を尻目にその勢いについていけない二人はため息つき、
これから出会うであろう冒険者に対して南無と心の中でいっておいた。



研究所が閉ざされると皆食堂に集まって夕食をとり終え入浴も済ませてしまい、
後は寝るだけとなったのだが、誰も部屋に戻ろうとしない。誰もというか主に女性陣だが。
ただ一人、セニアだけは自室に戻って不貞寝しているが。
「ふあ……」
「あら?フィリス、眠たい?」
「うん……」
「それじゃ、部屋行って寝ましょうか?」
「うん……」
マーガレッタはフィリスを膝の上からおろし、手を引いて部屋に向かおうとしたのだが
「……お父さんは?」
「え?ああ、お父さんならそこにいるでしょ?」
そういってハワードとエレメスと談笑しているセイレンの方に目を向けた。
その後ろで2階の妹たちを含む女性陣はマーガレッタがセイレンのことを
『お父さん』と呼ぶことに笑いそうになりながら、それを必死にこらえていた。
フィリスはセイレンを見つけるとセイレンの方へ小走りで向かい抱きついた。
「っと、どうした?フィリス?」
「寝るの〜」
「そうか、ならお母さんが部屋に連れて行ってくれるから」
「一緒に寝るの〜」
「あ〜、きっとお母さんが一緒に寝てくれるから」
そう言ってセイレンは近くに来たマーガレッタに目配せし、
マーガレッタも「仕方ないわね」と肩をすくめて了解した。が
「お父さんも一緒に寝るの〜」
「ああ、ならわたしが部屋に連れて行ってあげるからわたしと一緒に」
「お父さんとお母さんとフィリスで一緒に寝るの〜」
「「…………は?」」
あまりの突然の娘(?)発言に目が天になるセイレンとマーガレッタ。
その後ろではついに男共を含めたその場にいる全員が必死に笑いをこらえていた。
「「( ゚ Д ゚ )……?」」
「だ、だれかセイレンとマガレに説明してやれ……くく!!」
「ご、ごめん!わ、わたし今ちょっと無理……ぷ!」
「せ、拙者も今は…ちょ、ちょっと無理でござるwww」
「……フィリスは…セイレンとマガレと…同じでベッドで…一緒に寝たい……」
既に腹を抱えて笑っていて、他の事どころではない仲間たちと弟妹たちのかわりに
軽く笑ってニコニコしながらカトリーヌがそう説明した。


「な、なあ?ちょっと近すぎないか?」
「そ、そんなこといわれてもフィリスがしっかり掴んでるんだから……」
「う〜ん……」
食堂でのフィリスの発言から30分後。
ビックリするような速さでハワードとエレメスがダブルベッドを持ってきて、
セイレンの部屋のベッドと取り替え、マーガレッタの部屋のベッドを持って行ってしまった。
「でも、こういうのも悪くないと思わない?」
「まあ、な。」
ここに拘束されてしまう前、こんな風になってしまう前、騎士だったセイレンとプリーストだったマーガレッタ。
「あなたが任務でどこかでたたっかて来るたびに、うちの大聖堂の孤児院には子供がふえていたわね。」
「……すまん、あのときは苦労をかけた。だが、どうしてもほうっておくことが出来なかったからな。」
「わかってるわよ。それがあなたのいいところだもんね。」
セイレンが連れてきた孤児をシスターに頼んで孤児院に入れてもらい、マーガレッタと二人で世話をする。
セイレンは自分の給料と冒険者たちとの狩りで得た金をほとんど孤児たちのために使っていた。
自分がロードナイトの称号を得るころにはその子らも剣士やアコライト、冒険者の卵になっていた。
「なあ、俺との約束……俺が騎士でお前がプリーストだったころにした約束まだ覚えてるか?」
「……この子たちが自立して、俺が自分の孤児院を建てられるようになったら結婚してくれ。
 そして一緒に孤児院をやっていかないか?」
マーガレッタが交わし時の自分そのままの口調で一字一句違わず言ったものだから、
セイレンは声にこそ出さないもののかなり驚いていた。
「もう……忘れていると思っていたよ……」
「忘れるわけ無いでしょ……」
子供好きな二人の夢、孤児院を作り、子供たちと笑いながら、自分たちの子供と一緒に育てていく。
そんな夢をふたりで語り合ったとき、セイレンが言った言葉。
セイレンがロードナイトになってから、マーガレッタがハイプリーストになってからの最初任務が
リヒタルゼン訪問、レッケンベルのパーティーの出席だったこともあり、その約束が果たされることは無かったが。
「……ある意味、ここは孤児院かもしれないな。」
「そうね……でも、それだとわたしたちも孤児ね。」
「……そうかもな。」
自嘲気味に笑ったセイレンに対しマーガレッタはだけどと言葉を続けた。
「そうだとしたら……わたしたちの約束は……叶えられなかった夢は果たせたことになるのかもね……?」
「……なあマガレ?」
「うん?」
「もし……もし明日にでもここから開放されて、もし以前のような生活が出来るとしたら……
 俺とのあの約束……ちゃんと果たしてくれるか?」
「えっ……」
ダブルベッドの真ん中にフィリスを挟んで見詰め合うセイレンとマーガレッタ。
普段ロリコンシスコンと罵られ、幼女を見れば暴走する男の面影は今のセイレンにはなく、
しかし侵入者と対峙し、殺意をむき出しにしたロードナイトの顔をでも無い。
今マーガレッタの目の前にいるのは孤児たちの兄として、父として自分に夢を語った男の顔だった。
マーガレッタもまた普段の悪戯・セクハラ好きで百合な性職者の面影や
侵入者に対して死の救いを与えるハイプリーストの顔などどこにもなく、
彼女もやはりセイレンと共に夢を分かち合った女性というよりは初心な少女ような顔をしていた。
その少女のような顔を普段は決してならないほど真っ赤にそめてマーガレッタはセイレンに答えた。
「そうね……もしそんなことが出来たなら……なによりも最優先で叶えたいかな。」
「……マーガレッタ」
マーガレッタはセイレンの頬に手を添え、真っ赤になりながらも真っ直ぐにセイレンを見つめて言った。
セイレンもまた頬に添えられたマーガレッタの手を優しくつかみ、いとしい人の名を呼んだ。
二人とも見つめあい、ほんの少し身体を起こす。お互いの名を呼びながら顔と顔、唇と唇が近づいていく。
そのとき
「ん〜?」
フィリスの寝言のような声を聞き、セイレンとマーガレッタはバッと距離をとった。
「あ、あら、ごめんね、フィリス。起こしちゃった?」
「ん、だいじょ〜ぶ〜」
「す、すまないな。さあ、変におきてると明日つらいからもう寝なさい。」
「あい〜。」
二人ともぎこちなさ抜群であるが、95%寝ぼけているフィリスは気づかない。
しかし95%寝ぼけているからさらに爆弾を投下する。
「おとーさん、おかーさん、もっとぎゅーってしてぇ……」
「「ギュー……」」
二人ともフィリスがして欲しいことをうっかり理解してしまったので、赤い顔を更に赤くしながらも
二人揃って苦笑を浮かべながらセイレンとマーガレッタはフィリスとの距離、そしてお互いの距離をつめた。
そうするとフィリスは幸せそうな顔をしながら再び夢の世界に落ちていった。
「……はは、子供がいるとこういう苦労があるんだな。」
「ふふ、そうね。いい体験をさせてもらってるのかしらね?」
「はは、そうかもな。……そろそろ寝ようか?またフィリスを起こすのもかわいそうだからな」
「そうね……おやすみ……『お父さん』。」
「……ああ、おやすみ『お母さん』。」



―――ありがとう……もうこの世界で……この時間で会うことはできないけど……―――
―――どんな世界でも、どんな時間でもお父さんとお母さんはフィリスのお父さんとお母さんだったよ。―――
―――お父さんとお母さんがこの世界のわたしと逢えるかどうかはわからないけど―――
―――わたしも……わたしのお父さんとお母さんも会えることを祈ってるよ―――
―――それじゃあ、また逢うときまで……バイバイ、またね……お父さん……お母さん―――



「いたか!?」
「ううん、どこにも。3階にはいないみたい……。」
「2階にも見当たらんでござるよ。いまリムーバたちが1階を探しているでゴザルが……」
翌日、セイレンがおきるとフィリスが消えていた。
トイレか食堂にでもいったのかと考えていたが、朝食の時間になっても出てこず、
エレメスたちに聞いてみたがだれも見ていないということだった。
セイレンたちは巡回ついでに弟妹たち、リムーバ総出で研究所内を調べつくしたが、
ついに研究所が閉鎖される時間まで、フィリスは見つけられなかった。

「フィリス、どこにいったんだ……」
「フィリス……」
「案外、配管通って戻ったとかな?あそこを出りゃ貧民街には出れんだし。」
「貧民街であの子が生きていけるとでもいうのか!?」
「あの子は……フィリスは……まだそんなに強くないわ!!」
ハワードの気遣いも今の二人には逆効果だった。声を荒げ、テーブルを叩いて立ち上がる。
「二人とも落ち着くでござる!!」
「そうよ!それだって可能性のひとつでしょ!?それにハワードだってあんたたちに気を使ってるんだから」
エレメスとセシルの言葉で少し冷静になった二人はハワードに謝った後に再び椅子に座り頭を抱えてしまった。
そんな二人をどうしようかと3人が見ていると本をもったカトリーヌが食堂にやってきてその本を開いた。
「……セイレン、マガレ……ここ、見て?」
「「?……ドッペルゲンガー?」」
それは所謂モンスター事典であり、カトリーヌが開いたページにはドッペルゲンガーという悪魔が書かれてあった。
「ドッペルゲンガーには…違う世界をつなぐ力を持ってるものいるの…ドッペルゲンガーは人の形を取らないと…
 この世界にいられないから…その人の精神力と身体を使って…違う世界へ連れて行くことがあるの。」
「……フィリスがドッペルゲンガーだったと……カトリは思ってるの?」
マーガレッタのその問いにカトリーヌはこくんとうなずき、説明を続けた。
「わたしが…フィリスを最初見つけたとき…人間とはちょっと違うような…感じだったの
 すぐに消えちゃうような…違和感だったから…気にしなかったんだけど…悪魔の雰囲気ぽかったかも。」
「……それで、カトリはなにがいいたいんだ?俺は悪魔のこととかはさっぱりだから、詳しく説明してくれると助かる。」
落ち着きを取り戻したセイレンがカトリーヌを見てそういい、カトリーヌはまた説明を続けた。
「もしかしたら…フィリスはこことは違う…セイレンとマガレじゃない…セイレンとマガレの…子供なのかも…。」
「「「「?」」」」
カトリーヌの説明に全員が首をかしげた。カトリーヌもまだ自分の考えに自信が持てないのか、
悩みながらどう説明すればいいか悩んでいる。
「あ〜、つまりあれか?フィリスは…パラレルワールドつーのか?そこから来た、今ここにいるセイレンとマガレじゃない、
 セイレンとマガレの子じゃないかと……カトリはそう考えてるわけか?」
カトリーヌの言っていることをわかりやすくまとめたハワードがそうカトリーヌに聞く。
カトリーヌはその問いにうなずき再び説明を続けた。
「うん。…2階の配管から貧民街にでたって事や、……侵入者に殺されちゃったって事のほうが…
 現実味はあるけど…どうしても…あの最初あったときの変な感じが気になちゃって…もしかしたら…って」
「「「「「…………………」」」」」
カトリーヌのあまりにもファンタジーな考えに皆口を閉ざしてしまった。
だがあまり長くは続かず、エレメスの声がその沈黙を打ち破った。
「そうでござるな……考えてみれば、それなりに身なりのいい子がここに来ること自体おかしいでござる。」
「そうね、カトリの言うことが正しいとは思えないけどマイナスに考えるよりははるかにマシよね。」
「それに、カトリの考えが確かならもしかした『フィリス』にはまた逢えるかもしれないんだしな?」
「うん……あのときのセイレンとマガレなら……いいお父さんとお母さんになれる……」
セイレンとマーガレッタは仲間たちの言葉に耳を傾け、今までのことを整理していた。
フィリスと逢って、お父さんとお母さんとよばれて、仲間たちにからかわれ、妹に殺されかけ、
3人いっしょに川の字なって寝て、昔の自分たちを思い出し、新しい目標も出来た。
これだけのことが一斉におきて、それを偶然の一言で済ますのはもったいなさ過ぎる。
一言で済ましてしまうならもっといい言葉があるではないか。
「ドッペルゲンガーがくれた奇跡……か」
「フィリスは、ここに閉じこめれたままじゃダメ……って言いたかったのかもね」
二人の言葉に皆黙り込み、何かを考えていた。
過去の自分、リヒタルゼンに来たこと、レッケンベルに実験体にされたこと、こうなってしまったこと、
そしていままでずっとこの閉ざされた空間で生き続けてきたこと。
「いつか……いつか必ず皆でここを出よう……そして狂ってしまった俺たちの未来の歯車を直して……
 そして、俺たちの子供たちの未来を取り戻そう!!」
「「「「「おお!!」」」」」
ドッペルゲンガーが、フィリスがくれた奇跡は、ここの住人たちに新しい希望を与えた。







―――やっぱり書きたいおまけ―――
「しかしセイレン殿もなかなかやるでござるなwあの場面で再び結婚を申し込むとはwww」
「な、エレメス貴様!?なぜそれを!?」
「いや、それは昨日ほぼ徹夜でセイレン殿の部屋の隅でクロークしてたでござるからwww」
「てことはわたしたちの過去も含めて昨日のことは全部……!?」
「いやはや、セイレンと姫との間にそんな事とがあったとはwwwしかし、姫がセイレンの妻になるのは残念でござる。
 ああ、姫!!人妻でも愛人でもいいから拙者ともーー!!」(くねくね
「マガレ、フル支援とあいつにいつものたのむ。あいつにプレゼントだ。」
「OK……ついでにわたしからもプレゼントよ。」
「ちょwwwなんで二人ともそんなオーラ噴いてr(LD速度減少LAHL)もごー!!(LA)」
「俺からのも受け取れ!!」
「(ちょwwwLABBとか拙者冗談抜きでしn(BB)アッー!!)」
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