「セニアッッ!!

俺は乱暴にドアを開けその部屋に飛び込んだ。

「…セイレンさん。病室ではお静かに。

が、医者のヘアバンドを着けたイレンドに窘められる。

「セニアは…セニアは無事なのか!!?
「だから大声を出さないで下さいよ…ただの風邪のようですから大丈夫ですよ。
「そ…そうか…ふぅ…

その一言を聞いて全身の力が抜けたように座り込む俺。

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・数分前
「セイレン殿!セニア殿が…

内容を聞かず飛び出して行くセイレン。

「風邪で寝込んでいるようでゴザるから見舞いに…早いでゴザるなぁ…もう見えないでゴザるw
「それはいいけどセニア大丈夫なの!?
「問題ないでゴザるよセシル殿ww今はイレンド殿が看護に当たっているでゴザるwww
「それならはいいが…2階の警備はどうする?セニアが抜けるときついんじゃないか?
 看病をする奴の分も入れるとかなり人数が少ないぞ。
「拙者が頑張れば済むでゴザるよwwwそれにアルマ殿の料理もあるでゴザるwwすぐ治るでゴザるよww
「…病人食も…美味しいかも…
「後で分けてもらうでゴザるwwwしからば拙者2階の警備に戻るでゴザるwww
「行ってらっしゃいエレメス。いざという時は看護を代わると弟に伝えて下さいな。
「了解でゴザるよwww

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「しかし風邪とは…エレメスの奴驚かせやがって…
「セイレンさん、風邪を甘く見てはいけませんよ。風邪は万病の元ですから。
「…そうだったな、それでセニアの容態は?
「あ、はい。少々熱があるようなので今アルマに良く効く料理を作ってもらってます。
「そうか…

コンコン。『イレンドー。お粥出来たわよー。』

「あ、アルマだ…今開けるよー。
「少し冷ましておいたからすぐ食べれるは…あれ?セイレンさん?
「こんにちわ。エレメスにセニアが倒れたと聞いたんでね。
「こんにちわwそれで飛び込んできたんですねw
「な…何故知っている!?
「くすくす…それぐらいすぐ分かりますよwじゃあこれはセイレンさんが食べさせてあげてくださいねw

そういってセイレンにお盆を渡し部屋から去るアルマ。

「じゃあボクもこの辺で。何かあったら呼んでくださいね〜お大事にw

更に天使のような悪魔の笑顔を残して去るイレンド。これも姉の血か。

「…俺はどうすればいいんだ…?

そしてただ呆然とするセイレンだった。

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「…ん。

目が覚める。体が熱い。

(…そうか、風邪を引いて…寝てたんだった。今何時だろう。

時計を探し辺りを見回す。…すると、ここに居ないはずの大好きな兄の姿がすぐ傍に。

「にーさま?

ふと、呼びかける。

「…起きたか?セニア。

声が返ってきた。

「あ、あああああ兄上っ!!???

私は真っ赤になって飛び起きた。まさか本物とは!

「あ…

頭がぐらつく。そしてふたたび倒れこむように横になる私。

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「大丈夫か!?セニア!

「あ…大丈夫…びっくりしただけ…だから…

少し掠れた、弱々しい声で話すセニア。

(か…可愛すぎる…い、いかん、セニアは妹。それに今は弱っているんだ。そんな事を考えては…

「あ…あまり無理をするんじゃないぞ。そ、そうだ
「どうし…ました?あに…うえ…?
「アルマがお粥を作ってくれてるんだ。食べれるか?
「ん…うん…だいじょぶ…

そういってゆっくり身を起こすセニア。

「そうか。ほら、これだ。

俺はその太腿の辺りにお盆を置いてやった。

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…美味しそう。素直にそう思った。ずっと寝ていたとはいえ、お腹は空いている。

横には私のほうを心配そうに見つめる兄。そこにちょっとだけ悪戯心が出て来てしまう。

「あ…兄上に食べさせて欲しい…。(////)
「んな!?いいいいきなり何を言うんだセニア!!??

くす…予想通りの慌てぶりを見て少し微笑んだ。

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(…ちょっと待て。落ち着け俺。状況を整理しろ。

目の前にパジャマ姿の妹。お粥。それを食べさせて欲しいとせがまれている。そして部屋の隅に誰かの気配。

(…誰かの気配?

「…兄上ー?
「ちょっと待ってろ。セニア。…おいエレメス!そこに居るのは分かっている!さっさと出て来い!!

少し間を置いて何も無いはずの空間から湧き出る覗き魔。

「…いつから居た?
「『兄上に食べさせて欲しい。』の辺りからでゴザ…

無言でその辺の人形を投擲する。

「ちょwwwwwセイレン殿wwwww無言でスポアブーメランは痛いでゴザるwwww
「うるさい!とっととどっかに行け!BBも食らいたいのか!
「それは勘弁願うでゴザるwwwwww

そういって早足で立ち去るエレメス。

(…ったく奴の覗き癖は何とか成らないのか。

その間セニアは、真っ赤になって俯いていた。

(誰も見ていないし可愛い妹の頼みだ。仕方ない。

「…ほら。あ…あーん。

俺はさじにお粥を乗せてセニアの口元に運ぶ。

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まさか覗かれていたとは。顔から火が出そうなのは風邪のせいじゃないと思う。

しかしこの後更なる事態が。

「…ほら。あ…あーん。

まさか本当にしてくれるとは。更に顔の温度が上がる。胸の鼓動が早鐘のように高まって行く。

「…あーん。(////)

お粥の味は、緊張と興奮でまるで分からなかったけど。

「…おいしい。
「そうか。
「…もう一口。(////)
「…

兄は、今度は無言でさじを突き出した。私と同じ。湯気の出そうな真っ赤な顔で。

「…くす。
「…どうしたんだセニア?
「だって…兄上も、顔、真っ赤。
「そりゃ赤くもなるさ…

少し膨れっ面で言う兄が、無性に可愛い。

「…後は自分で食べろよ?

結局3回ほど『あーん』をした後で、残りは自分で食べることになった。

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(セニアめ…今日は無性に甘えてくるな…

『あーん』といい甘えモード全開である妹が愛しくて堪らない。

(う…なんかマガレの気持ちが分かるな…可愛すぎる…。

思い切り抱きしめたくなるのを堪えつつ平静を装う。顔は真っ赤だが。

「ごちそうさまー。

そんな事を考えているとセニアがお粥を食べ終わった。

「…それじゃ食器を片付け・・『待って。』・・?

呼び止められる。

「…一緒に居て欲しい。

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結局丸一日付き合う形になり。

見舞いに来る他のメンバーに散々からかわれ。
夕食も『あーん』することになり。
たわいも無い雑談をしつつ。

そして眠りに着くセニア。

(…やっと寝たか。

眠っているのを確認し、そっと立ち上がるセイレン。

「…行かないで。

(…!?

「どこにも行かないで…私の…兄上…ZZzz・・

(…寝言か。

「どこにも行かないさ。ずっと…ここに居る。

そう言うと寝ているはずのセニアが、少し微笑んだ気がした。

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翌日・セイレン編

「…で?そのままベットの傍で眠りこけた上に風邪を移された、と?
「…すまない…
「バカじゃなかったんだ…
「いや、この場合究極のバカだから風邪引くんだろ。

言い返す気力も無い。

「うはwwwセイレン殿羨ましいでゴザるwww拙者も姫に看病されたいでゴザるwwwww
「…エレメスは程よく頭悪いから…風邪。引かないと思う。
「カトリ殿さり気に酷いでゴザるwww

…だが、たまにはこんなのも良いか。布団の中でそう思うセイレンだった。

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翌日・セニア編

「そ・れ・でw一晩中一緒だったのねー?w
「なっ!そそそんな…(////)
「なに照れてんだかw『あーん』とかやってた癖にー。
「んなっ!!
「ラブラブねーw
「ふむ…禁断の愛フラグ成立という奴か?
「いーからカヴァク!お前は黙ってろ!(#゚д゚)
「はわわわわわ…
「というかトリスっ!何故それを知っている!?
「だって覗いてたもん
「(;゚д゚)!!トっ…トリス!貴様!
「わーっ!MVPは待ってーっ!

「あははははははははは…ところでカヴァク。この写真どう思う?
「ん…?ふむ…熱っぽい顔でぐったりと眠る姿…100kHitは硬いな。
「冷静に解析してんじゃねぇよゴルァ(#゚д゚)
「(欲しいかも…。

こうやって、いつものようでいつもでない毎日が始まるのでした、まる。

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あとがき。

風邪引きセニアを受信。上手く書けたのだろうか…だが、後悔はしない。
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