マーガレッタは何かをひらめいたように、
「エレメス?エレメスはいらっしゃいますか?」
「何でござるか?姫?」
素敵な提案を思いついたんです、と微笑み、
「2階の女の子たちを呼んでいただけないかしら?」

「お待たせしました、あれ?お兄様はご一緒じゃないのですか?」
自分たちが呼ばれたので、てっきり兄連中も一緒だと思ったのだが、ここにいるのは
2階と3階の女性6名。
「そうですわ。これは男子禁制のお話し合いですもの」
「ちょっと、マガレ。何考えてるの?」
「・・・落ち着いて」
マーガレッタに詰め寄るセシルと、セシルを宥めようと頭を撫で撫でするカトリーヌ。

思っていたより子供っぽい3人に唖然とする2階女子。
不安そうなセニアをアルマイアが後ろから抱きしめていたりする。
何しろマーガレッタは女の子スキーで有名なのだ。セシルが詰め寄るのも、セニアが
不安がるのも当然と言えた。
「ご、ごほん。実はね、パジャマパーティを開催しようと思いまして」
気を取り直してさらりと爆弾発言をするマーガレッタ。
カトリーヌを除いた他の連中は一斉に青ざめる。

「ど、どうしよう、大変なことになっちゃったよ・・・」
「お、落ち着いてセニア、多分大丈夫、きっとセイレンさんが助けに来てくれる・・・」
「ちょっとまってトリス、セイレンさんがマーガレッタさんに勝てるとでも?」

などと勝手な力関係を予想してるあたり動揺なのか正気なのかイマイチ判断がつかない。

「皆様・・・?何か酷い予想をしていらっしゃいませんか?」
空間がギシリ、と軋むような錯覚をしてしまうほどに、このときのマーガレッタは迫力が
あった。

「・・・で、なんで僕まで?」
何故か強引につれてこられた寝巻き姿のイレンドくん。ナイトキャップがとってもキュート。
「それこそお姉さまに聞いたらどう?」
とあっさり言うトリスと、その姿を見て顔を真っ赤にして背けるイレンド。
流石に人前では肌を見せずに、体にシーツを巻きつけている。その下は全裸だが。
本人もあまり気にしていないようだが、イレンドが姿勢を低くすれば太腿の奥が覗けそうで
ある。
意識しているのはイレンドだけで、実は女性陣は全員女しかいないような雰囲気で特に
恥ずかしそうにしている様子は無い。
「はいはーい、セニアちゃん、イレンドの隣に座ってくださいます?」
薄いピンクのパジャマ姿セニアと、薄いブルーのパジャマ姿イレンドは確かに絵的には
ばっちりだった。
満足そうに微笑んで、マーガレッタは写真を数枚撮っていたりする。
そんなマーガレッタはシースルーのネグリジェで下着を着けていない。
いくら姉とはいえ、正視できずに、顔を背けると湯上りパジャマ姿セニアが十数cmの距離で
しかも座高の関係で、セニアの胸元がかすかに見えてしまうので、やはり正視できない。
かといって顔もずっと見ていられない。
困って他の方を向いても、例の姿をしたトリスがいるし、また別な方を見ても同様の姿の
カトリーヌがいる。どうやらカトリーヌも普段は全裸派らしい。

カトリーヌのそばにはTシャツ・ホットパンツ姿のセシルがいて、この中では普通に接する
ことのできる唯一の相手といえる。
カトリーヌを挟んでセシルの反対側はだぶついたシャツ1枚のアルマイアがちょこんと
座っている。
この3人はベッドの上に陣取っているので、アルマイアの格好は男の妄想を掻き立てるものと
なって、イレンドは心身ともに大変であった。
ちなみにカトリーヌとトリスは普段結ってある髪を解いて流していたりする。
イレンドの心臓は爆発しそうであり、これは今夜寝付けるかな?と妙に冷静な悩みが
浮かんでくるのが苦労性の彼らしい。
ここで不思議なのが、姉であるマーガレッタは除外するとして、実は一番露出度が高いのが
セシルだったりするのだが、イレンドの困惑は主にアルマイア、トリス、カトリーヌに
向けられていた。
セニアは隣に座ってなければそこまで困惑しなかっただろう、とは後日に彼が語ったことである。

意外にもマーガレッタは女性陣を襲ったりせず、普通の世間話や恋愛話に一緒に花を咲かせている。
だがイレンドにとって、自分や友人・先輩たちの評価が目の前で繰り広げられるのは非常に肩身が
狭いのである。
ふと彼が気がついたことがあるのだが、3階男性陣の評価がまちまちなのだ。
普段馴染み深いエレメスについて、2階住人は極めて高い評価を出している。
普段の戦闘力が3階の中では劣るとしても、それを補って余りある頼りがいがあるからだ。
ところが、3階住人内での評価は驚くほど低い。話を聞いていると、3階での評価基準は強さで
しかないように感じるのだ。もちろんエレメスだけだが。
逆にセイレン、ハワードについては、同じように強さは評価しつつもメンタル面では
ハワード1人勝ち状態のようなのだ。
逆に2階住人ではエレメスが来ることもあって、ハワードはギャグメーカーとしか見ていなかった
のだが。

似たようなことをアリマイアも感じていた。
しかし、3階女性陣のエレメス評価では彼女は逆だったりする。
むしろ、3階女性陣の男を見る目を疑ったほどだ。
ホモ兄貴とはいえ、ハワードが本気で男を追いかけるのは実は滅多にない。
大抵は嫌がる相手にセクハラ目的でやっているのだ。そちらは単に楽しいからだろう。
だがハワードはエレメスを性対象だけではなく、本心から評価している。
彼は自分以上の商人、超一流の商人なのだ。
その人を見る目の確かさは、だれよりもこの兄妹は自信を持っている。
自分を上回る「人を見る目」を持つハワードが評価しているのだ。
只者であろうはずがない。

ここでは誰も知る由も無いことだが、実はセイレンもエレメスを高く評価している。
エレメスが本気を出していないだけということを、確信しているのだ。
後にセニアに語ったことによると、
「あの歩き方、時折見せる何気ない仕草、その洗練度合いは受けた訓練の質と量を証明
するものだ。その分野では俺も数歩譲るな。しかも頭が切れる。あれはいわゆる能ある鷹は、
というやつだよ」

就寝時間になり消灯すると、イレンドは困っていた。
姉が面白がって、彼を囲むように寝ましょうと言ってのけたのだ。
闇に目が慣れてきて、目のやり場に困る。いや目を瞑ればいいのだが、そこは男の本能と
いうやつだろう。
右側には姉がシースルーのネグリジェのまま、胸に彼の右腕を挟み込んでいる。
非常に気持ちいい。禁断の気持ちがむくむくと膨らむのは仕方ないのだが、生真面目な彼は
自己嫌悪にさいなまれていた。
もう1人の生真面目娘は、ちょっと他のみんなに比べて距離をとって寝ていた。これは助かる。
セシルもセニアと同じ辺りにいるようだ。
困ったのがカトリーヌで、マーガレッタと彼の隙間から、彼の腹を枕に寝ている。
流石に息苦しく、時折寝返りでカトリーヌの顔が彼の股間に埋められるのだ。
これはたまったものではない。
「ああ・・・神よ・・・」
などと神を現実逃避の道具に使っているあたり、救われてるのか救われないのか。
左側にはアルマイアとトリス。
アルマイアが彼に近いほうで、背を向けていて、それに向かい合うようにトリスが抱き合うように
寝ている。
実はアルマイアの着ているシャツの裾がめくれ、下着着用のお尻が見えている。
さらに困ったことに、そのお尻にイレンドの手は下敷きにされているのだ。
(こ、これは朝になったら無事ではすまないかも・・・)
その向かいのトリスは、アルマイアの大きな胸に顔を埋めて寝ているので、寝顔がよく
見えない。
しかしこれまた困ったことに、トリスのあらわになった太腿はアルマイアの足に絡み
ついているのだ。
目のやり場に困るというものである。
しかしそれでも
(美脚だなぁ・・・)
こんな余裕はあったりするのは、姉のしごきの賜物であろうか。
イレンドの苦悩は続く。


時はさかのぼって、冒頭のほぼ同じ時間帯。
ハワードが残った男を集め、
「よし、俺たちもパジャマパーティをやるぞ!」

男たちの盛大な拒否反応が示されたという。
粘ったハワードに贈られた敢闘賞は、縛られたエレメスだったりするのはいつもの光景。


今回アルマは主役から外れて1キャスト。
イレンドくんウラヤマシス
ハーレムのようであって、ただからかわれてるだけだったりするのだけども。
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