(今日も疲れた・・・)
大浴場に入ったアルマイアは一度軽めに体を洗い、湯船にゆったりとつかる。
「ふぁ〜極楽極楽」
どこで覚えたせりふか、おどけながら呟いてみる。

ガラガラガラ

大浴場の扉が開くと、セニアとトリスが一緒に入ってくるのが見えた。
2階の大浴場に入るのは計6人で、今は女子の貸切である。
当然女3人なので、遠慮することは無いのだが・・・
「相変わらずね・・・あんたたち」
トリスはその恵まれた肢体をこれでもか、といわんばかりに胸を張って見せつけているが、
セニアはこの面子ですらタオルを巻いて胸から腰まで隠している。
ちなみに今まで男性陣の覗きは一度も無い。
おそらくばれた時の姉の制裁が怖いせいだ、とトリスは言うが、アルマイアは男性陣の
性欲が薄いせいじゃないかと思っている。
まあどの道隠す必要が無いのだが、セニアは頑なにいつもタオルを巻いている。
隠さなくてもいいのだが、かといってトリスの見せ方も問題があるんじゃないか、と
アルマイアは思う。
男性3人にトリスの裸を見せたら、どんな反応するんだろうという興味はあったりもするが。
彼女の体を見て反応しない男は、うちの兄と同じ趣味の持ち主だ、とアルマイアは勝手に
結論付ける。

2人が大浴場に入ってきたので、アルマイアも湯船から上がり、一緒に洗い場へ向かう。
お気に入りの石鹸で顔を洗い、これまた兄からせしめた金で買ったハーブ入りのシャンプー
で頭を洗う。
セニアとトリスはアルマイアが露店で並べた、ごく普通の石鹸などを使っている。
(目当ての男がいるんなら、もっと良いの使いなさいよね・・・)
などと心の中でぼやくアルマイアだが、当の2人は気持ちよさそうに体を洗っている。
毎日熱心に体を磨いて、気持ち良いのだがアルマイアにとっては、体を洗うという行為は
少し気が重くなるのだ。
普段と違い、下着もつけてない風呂場では、揺れる胸が重くて頭洗ったり体洗ったりは
重労働なのだ。
セニアは幼児体型なのでまるで気にならないようで(もっともアルマイアとトリスに
コンプレックスがあるのでいつもタオルで隠そうとする)、トリスにいたっては体型の
バランスがいいのか、揺れてはいてもさほど気にしてはいないようだ。

湯船に3人つかり、仲良く談笑している。
実はこの3人、仲良くお互いにコンプレックスを抱いてたりする。
セニアはアルマイア、トリスの2人のスタイルが羨ましい。しかしそれを口にしたところ、
「あなたのお兄さんは幼児体型が好みだと思ってたけど?」
という2人の突っ込みがきたものだ。
そんなセニアは2人から、艶やかな長い髪と、可愛らしい容貌で羨ましがられている。
トリスもアルマイアも美少女といって差し支えないが、トリスはやや大人っぽく、
アルマイアは愛嬌のある顔立ちと言った所で、可憐なセニアとは違う魅力なのだ。
アルマイアはトリスのスタイルのよさに羨望のまなざしを向けているのだが、実は
トリスはアルマイアのスタイルを羨ましいと思っていたりするから複雑である。
トリスの兄、エレメスがアルマイアのスタイルに近いマーガレッタにご執心だからという
理由であるが。ブラコンの彼女にとって、アルマイアの体型は喉から手が出るくらい、
だったりする。

それを承知の上で、アルマイアはトリスの体を見ると溜息を吐かざるを得ない。
細身の体につくところはちゃんとついて、しかも背中から太腿へ至る曲線がなんとも
扇情的なのだ。
胸もまるで芸術品のように綺麗に上を向いている。寝転んでも形が崩れないのは反則と
さえアルマイアには思える。
彼女自身、きっちり節制して同じくらい運動しているが、どうにもトリスに比べて
ふっくらしているように感じるのだ。実際は程よくしまった体つきなのだが。

「2人とも綺麗だよね・・・」
ボソッとセニアが呟く。いつものことなのだが。
今の容姿のほうが兄に好かれるとわかっていても、羨望は抑えられないと見える。
「せ〜に〜あ〜ちゃ〜ん♪」
猫撫で声をあげたアルマイアに、まるで怯える子猫のように体を振るわせるセニア。
「な・・・なに?」
ぎぎぎ、と音がしそうな引きつった笑みを浮かべてみるが、トリスに間を詰められ、
驚いて後ずさろうとするが後ろからアルマイアに抱きかかえられる。
「つ〜かまえた♪」
え?え?といった風に困惑するセニアに、息がかかりそうなほど接近したトリスに
そっと頬を撫でられ
「セニア〜、そんなに羨ましいなら綺麗にしてあげよっか?」
「え?いやちょっと・・・ひゃん!」
後ろからアルマイアに胸を押し付けられ、つい反応してしまう。
ちなみにアルマイアの足はセニアの腰に巻きついていて逃げられない。
『覚悟はい〜い?』

「う〜、酷いよ2人とも〜」
ふくれっつらのセニアだが、アルマイアとトリスは華麗にスルーを決め込んでいたりする。
怒るところも含めて楽しんでいるようだ。
「まあいいじゃない、セニアも大人になったことだし」
「なってないよ!」
「大人にして貰いたいのは、セイレンさんにでしょ?」
「うっ・・・そ、そういうトリスだって!」
「あー・・・いやまあそのなんだ・・・」
セニアとトリスは境遇が似ているようで実はまるで違う。
セイレンは一応セニアを見ているが、エレメスが見ているのはマーガレッタだからだ。
ついでに言うと、最近兄のアルマイアを見る目が違ってきてるとトリスは感じている。

風呂上りの3人は部屋の前に着くと、笑顔でまた明日、と挨拶したが、アルマイアは
明日の献立を決めようかとふと思いつき、厨房へ1人足を進める。

「あれ?ラウレルどうしたの?」
「ああ、ちと腹減ったんだ・・・なんかねーかなと思ってさ」
厨房で物色しているラウレルに声をかけ、アルマイアはざっと残り物を確認し、
「スープの残りがあるから、パスタゆでて絡ませてみようか?作ったげるよ」
「あ、すまん頼む」
高くつくわよ、とにっこり笑顔で返し、彼女はエプロンの紐を結びつつ鍋にむかう。
そう言われるのは毎度のことだが、アルマイアは一度もラウレルに頼みごとで請求した
ことがなかったりする。
ラウレルの知っている範囲だと、カヴァクもイレンドも金を取られたことは無いようだ。
「はい、できた。夜だし消化いいパスタのほうがいいよね」
何がそんなに嬉しいのか、にこにこしながらスープとパスタを絡めてラウレルに差し出す。
「いつもサンキュな」
「なによ、珍しいわね」
「珍しいんだったら素直に受け取っとけよ!」
口調だけならいつもの切れっぷりなのだが、顔を赤く染めてそっぽを向きながらでは
迫力がまるで無い。
「そうね、ありがたく受け取っておくわ」
まさに輝く笑顔を浮かべるアルマイアを、ラウレルは正視することはできなかった。

部屋に帰ったところで、そういえば明日の献立のこと忘れてたな、と思い返したが、
いつものセニアの怪しい独り言の時間なので聞き耳立てる時間ということにした。


アルマ分補給。
段々(もとから?)支離滅裂になってるような(苦笑)
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