「ふぁ〜あ・・・おはようございます〜」
アルマイアの朝は早い。
他の11人に比べれば、だが。つまり世間的には普通といったところか。
6時きっかりに起きて、軽くストレッチした後、自室のバスルームに向かう。
寝巻き代わりにしてる、兄からお下がりのシャツを脱ぎ捨て、下だけ履いてた下着を
洗濯物入れの籠に投げ入れる。
寝る前も着替えているのだが、毎日の習慣なのだ。
シャワーで寝汗を流し、柑橘系の香りをつけた湯船につかる。やや温め。
「ふぃ〜・・・いい湯だな〜♪」
冒頭の挨拶といい、一人暮らし(?)の者にありがちな独り言が時々出てきたりするが、
本人はまったく気にしてない。
隣の部屋にいる某剣士娘の
「はぁ・・・お兄様・・・んっ・・・」
とかいう就寝前の独り言よりよほどいいではないか、とアルマイアは信じている。
湯船から上がり、兄からせしめた金で通販購入した、値が張った石鹸で顔を洗い、丁寧に
流していく。

真っ白いタオルで全身を拭き取り、鏡の前に裸で立ってみる。
「・・・もうちょっと小ぶりがいいんだけどな」
普段斧を振り回す彼女にとって、3Fの聖魔二人に比べても遜色のない体型は、やや動き
にくいように感じるのだ。
胸も斧も重いのでは肩がこる、とちょっとした悩みでもあった。
だからといって、某スナイパーではやっぱり困ると思うアルマイアであった。
「なにごともほどほどがいいよね、トリスが羨ましい」

丁寧にブラッシングをし、バンダナを広げて軽く頭に巻く。
大きければ下着には気をつけるもので、やや時間をかけて下着をつけた後、エプロンだけ
つけて厨房に向かう。
2Fの連中は特に朝遅いので見られる心配はない。
カヴァクなんて明け方までパソコンをいじってるようだ。
たまにアルマイアの次に朝早いエレメスと遭遇することもあるが、彼の意中の相手は
他にいるのは周知の事実なので、男の反応されてもそれほど不快ではなかった。
最初のころは流石に赤面してお互い動けなかったようだが。

厨房に火を入れ、手際よく調理を進め、あとは並べるだけ、となったあたりで、彼女は
部屋に戻り、もう一度軽くシャワーを浴びる。二度手間ではあるが、彼女はこうするのが
好きだった。

今度はきちんと商人らしいゆったりとしたワンピースに着替え、みんなを起こしにいく
一番最初にイレンドを起こすのが習慣だ。
「おはよう、イレンド、今日もよろしくね」
アルマイアは自分でも可愛いと思う飛び切りの笑顔を、惜しみなくお目覚めに使っている。
「あ・・・うん、おはようございます」
毎日のことだが、顔を赤らめて対応してくるイレンドが堪らない。
(マーガレッタさんの気持ちわかるわ、こりゃ)
イレンドに出来立ての朝食を並べてくれるよう頼む。実は毎朝こうしているのだ。
もっとも、スープの盛り付けだけは彼女がやるのだが。

次に向かうのはセニアの部屋。
「相変わらず可愛い寝相ねぇ・・・」
長い髪を散らせつつ、枕をぎゅっと抱いて眠るセニアは歳より幼く見える容姿と相まって、
凶悪に可愛く感じる。
ピンクのパジャマがまた素晴らしいマッチングである。
(まあいいや、商売だし)
寝顔をパシャ、と写真に撮り、その後起こしにかかる。
リムーバーや、この写真目当てで取引に訪れる冒険者に高く売れるのだ。
勿論、侵入者なのでみんなには内緒であるが。
「おはよう、セニア。早く起きて?」
数度こう言って揺さぶるのだが、まず起きない。
まあ、だからこそ起こすのが楽しいのだが。
セニアの背中側に横になり、後ろから抱きしめるような体勢で・・・
「ふ、ふにゃ!?」
「あら、もう起きちゃったか〜残念」
なんとうなじに口付けつつ、後ろから胸をマッサージしたのだ。
「も、も〜!こんな起こし方やめてって言ったでしょ!」
「ならさっさと起きなさい。早くご飯食べよ?」
「う〜・・・」

次に向かうはトリスの部屋。
普段は彼女の部屋に遊びに行くのは楽しみなのだが、朝起こしにいくのだけは非常に
憂鬱になる。できれば自力で起きて欲しいと思っている。
「これだもんな・・・はぁ・・・」
トリスは普段何も身に着けないで寝ている。
ベッドのいたる所に短剣を隠しているくらいか。
セニアが全裸で寝ていたら、さっきの行動がエスカレートするのは間違いないが・・・
トリスの肢体は、アルマイアの理想といっていいので、劣等感にさいなまれるのだ。
セニアなら襲いたくなるのだが、トリスのはただただ見とれるばかりなのだ。
カヴァクのパソコンで見せてもらったどの女性の画像よりも、はるかに整っている。
「トリス・・・起きて」
「ん・・・おはよ、アルマ」
こちらはスムーズに起きてくれるのだが・・・起きるときにわずかに体を隠していた
布団まで剥ぎ取ってくれるので、目の毒でしかない。いや保養なのか。

カヴァクの部屋は何気に面白いと、アルマイアは思っている。
足の踏み場に困る散らかりようなのだが、実は非常に歩きやすい置き方なのだ。
しかも、意外にわかりやすい配置だったりする。
そんな彼はパソコンの横に置かれたソファで寝ている。
画面は切ってあるようだが、本体は作動中のようだ。
「カヴァク、起きて」
「ん・・・あと5分・・・」
これも毎日恒例だ。彼は就寝が遅すぎるのだ。
さてどうしたものか、と考えてると突然手を引っ張られ、カヴァクの上に重なってしまう。
最初のころは慌てたものだったが、最近は実に慣れてしまった。
ソファで横になったまま抱きしめられるのだが、アルマイアは基本的にあまり抵抗は
しない。
ただ唯一する抵抗が・・・耳元でラウドボイスだからだ。
「×××・・・!!」
「やっと起きたか・・・離してくれる?」
「あ、ご、ごめん!」
このときに、慌てて謝るカヴァクが楽しくて仕方ない。
「貸しにしとくね。あとで矢代高くするよ?」
「まじごめん」

ラウレルの部屋は特殊である。
一人暮らし男性の部屋としては綺麗過ぎる。
まあそこまではいいのだが、なぜかこの研究所で一番音響機器が豪華である。
メタルという音楽やらをいたく気に入ってるらしい。
防音はきっちりしているのだが、ドアを開けると、騒々しい音楽の中で気持ちよく
眠ってるラウレルがいる。
「・・・!」
アルマイアほどの大声を出しても、この騒音の中では涼風に過ぎない。
しかし・・・
「カトリさん呼ぼうかな」
ぼそりとつぶやくと、どういう耳をしているのか、勢いよく飛び起きてくる。
「!・・・また騙された」
「いいからさっさと朝ごはん食べるよ」
「ああ・・・すぐ行く」
心の中でシスコン、と呟いて切れないうちにさっさと出て行く

食堂に向かうとラウレル除いてみんな食卓に付いて待っていた。
生体の一日の始まりである。


駄文失礼。
落ち無し山無し
でもアルマ分投下
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