ロードナイト・セイレン=ウインザー
今、彼は怒っている
ただ怒りだけが肉体を支配する
大きく息を吸い込み、静かに吐き出す
一瞬力を抜き、一度目を閉じ、精神を落ち着かせる
そして、全てを開放させる
身体に薄暗く赤く電撃が走るような錯覚が起こり、怒りに任せた力が溢れ出てくる
その怒りの矛先へ向けて一歩前進
獲物の「処刑剣」と仇名される魔剣エクスキューショナーを片手に一歩前進
その怒りの矛先はただ一人。名は



「エェェェェルメェェェェェス!!!」
ガッと言う音が研究所内に木霊する
「ヒィッ!まだ拙者何もやってないでござる」
彼はアサシンクロス・エレメス=ガイル。
孤高の暗殺者。
影に潜み光ある者を喰らう者。
闇の住人。
だが、全て自称。
「エレメス、俺は怒っている。OK?」
「お、OKでござる」
「何故怒っているのか。わかるな?」
わかるわけがない。前述の通り「まだ」何もやってないのだから。
首に処刑剣を突きつけられた暗殺者は必死に考えた。
さすがに爆裂処刑剣BBはやばい。ガーターでも怖い。生きる為に必死に脳を活性化させた。
そして一つの答えに行き着いた。
「わかったでござる。今流行のソウルリンカーでござるね。ついにセシル殿の魂が実装されたか」
「そんなもんハルシネイションウォークだ」
「永遠の未実装だなんて酷すぎるでござるよ。なぁセイレン殿」
「お前マジBBぶちかますぞ」
正直、洒落になってない。

エレメスのポジションはやられ役。気まずい空気も身体張って和やかにさせる。そんな立ち位置。
朝、目を覚ませばハイプリースト・マーガレッタ=ソリンへと
「姫、おはようでござる。目覚まし代わりに熱い抱擁をー
LA聖属性ラリアートで大きく吹き飛ばされ二度寝をし
戦場でも
「拙者がクロークで敵の陣形引っ掻き回すでござる・・・あぁっSGで炙りださないで!」
とハイウィザード・カトリーヌ=ケイロンのSGに巻き込まれる
夕食のあと、皆が暇を持て余しているからと
「見てくれセイレン殿。名射手のトマトでござる」
と頭に矢を通し、スナイパー・セシル=ディモンとの命掛け夫婦漫才?を繰り広げ
夜も更け、自室に帰ろうとするところ
「ハワード殿、それは強引でござアッー!アッー!」
とガチホモ・ハワード=アルトアイゼンに背後からハイディングで名射手の桃にされる。
セイレンはというと傍で見て、少し笑い、そして皆を嗜める。そういうポジションだった。
そのセイレンが今、本気で怒り、エレメスに牙を剥いている。
きっとハワードを除き洒落とわかってエレメスへの酷い行為を行っている。
だが、この馬鹿真面目のセイレンはきっと無理だ。素で全力のBBブチかましてくるだろう。

「セニアから聞いた。お前・・・昨日、2Fで何をやった。自ら吐け」
「昨日・・・そうでござるね。妹の様子を見がてら2Fの巡回も少々・・・」
ヒュンッ
眉間のほんの数ミリのところ、風の切れる音が聞こえる
「あ、危ないでござる」
「それだけじゃないだろう?お前、昨日ノビたんと戯れてたそうだな」
「ノビたん・・・遊んでなんか・・・

以下、エレメスの回想
ラウレル「だからヤッちまえって言っただろうがっ!このまま逃げられたらテメェのせいだぞ!」
イレンド「だってノービスだよ・・・なんか殴りにくいよ。心が痛むっていうか・・・」
ラウレル「お前なぁ・・・相手が誰だろうと敵だぜ。可哀相とか言ってるんじゃねって」
エレメス「ん?喧嘩は程々にでござるよ」
イレンド「あ・・・エレメスさん、ここらへんでノービスの冒険者見ませんでした?」
エレメス「ノービス?」
ラウレル「さっき一人突撃してきたんすよ。で、イレンドがもたもたしてるから見逃しちまってさー」
イレンド「ラウレルだってもたもた詠唱してたから逃げられたんだよ・・・」
ラウレル「あぁ?」
イレンド「睨まないでよ・・・。で、テレポで飛び回ってるみたいなんですけど、見かけました?」
エレメス「あぁ、さっき追い返したでござるよ」
イレンド「さっすがエレメスさん」
ラウレル「ほんとすんませんね、わざわざ3Fから来てもらったのにあんな雑魚の相手までしてもらって」
エレメス「気にすることないでござるよ。ノービス相手なら遊んでるも同然でござる」
(ここでセニアが近くを横切る)
イレンド「僕も戦い終わって遊んでただけだよって言えるくらい強くなりたいなぁー」
ラウレル「なりたいなぁ・・・じゃねーよ。なるんだろ?馬鹿馬鹿しい」
エレメス「まぁ、喧嘩はそこらへんにでござるよ。さぁて、3F戻るでござる」
以上、エレメスの回想

「あぁっ、あれか!」
ポンっと手を叩く。ガツンと剣の鞘で叩かれる。
「貴様の行為は万死に値する」
「えぇっ、冒険者を追い返しただけでござるよ」
「貴様!ノビたんと戯れるなんて百年早いんだよ!」

一時の沈黙。

「セイレン殿・・・ノビたんと戯れたいのでござるか?」
「う、うむ・・・」
「だけど、セイレン殿のその重厚な鎧、禍々しい処刑剣、怖い表情、硬い性格、どれをとってもノビたん逃げるでござる」
「わかってはいるんだ・・・だが・・・だがな!」
膝を着き絶望の表情を浮かべるロードナイト。
理由さえ、理由さえしっかりしてれば絵にはなる。その理由が犯罪紛いなのだが。
「仕方ないでござるな」
「何・・・?」
「拙者がノビたんに好かれる様コーディネイトしてあげよう」
「!!!ほんとか!!!」
「任せるでござる。とりあえず拙者の自室に行こう。ここでは皆に感づかれる」
というか今まで誰も気付かなかったのが凄いくらいセイレンの怒号は壮絶だった。
「そ、そうだな。お前冷静だな。頼りになる奴だ」
「ふっ・・・照れるでござるよw」
「にしても、こんなにも協力的なのはどういう風の吹き回しだ?」
「仲間が。いや、そんなチャチじゃない。もっと深い絆の関係であるセイレン殿の為ならば、拙者なんでもするでござるよ」
「お前いいやつだな。敵でなくてホッとしたぜ」
そしてエレメスの自室へ向う馬鹿ニ匹だった。




続く・・・か、わからない
SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送