みんなのお部屋




〜マーガレッタ編〜

コンコン
「どうぞー」
マーガレッタの返事が聞こえる
俺――セイレン=ウィンザーは遠慮なく部屋に入っていった
「あらセイレン、何の用かしら?」
「ああ、会議のことなんだが・・・」
先ほど他のメンバーとの会議(という名の雑談)で決まったことを伝える
この女はいろいろ理由をつけてさぼりやがったのだ
それとなく彼女の部屋を見回す
非常に女性っぽい部屋である
フリルつきのベッドが印象的で色にたとえるとピンクといったところか
部屋の隅に用途不明の物体が多数転がっているが聞かぬが華だろう
「きゃ!」
突然彼女が悲鳴を上げる
「な・・・!」
なんと彼女の胸に後ろから手が伸び鷲づかみにしていた
「こら!エレメス!」
槍を投げるがあっけなくかわされてしまう
ニヤリと笑いながら猛スピードでエルメスは去っていった
「ちくしょう、超FLEE化しやがって」
マーガレッタはというと・・・
「ふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふ」
なにやら怖い笑いを浮かべていらっしゃる
「マ、マガレ?」
思わず声をかける
「追いなさい」
「え?」
「追いなさい」
「え?あ、ああ」
思わず気圧される
「ええ、私も胸を触られたくらいで・・減るもので無いということはわかっているのですよ?
 でもね?ここで見逃すと良くない前例を作ると思わない?思うでしょ?
 あの男のことだから一回見逃すと必ず二度三度と同じことを繰り返すわ。
 それはだめでしょ?ねえ?だめでしょ?だから今回のうちにきちんとしめておかないといけないと思うのよ。
 それこそ彼のためにも。ねえ?どう思う?ねえ?ねえ?」
こ、怖すぎる・・・まるで反論すれば命は無いといわんばかりの迫力だ
「わ、わかった。エレメスを探してくるよ」
「よろしくお願いするわ。それに彼が入ってきたのはあなたのせいでもあるし」
確かに俺が入ったとき意外に奴がこの部屋に入るタイミングは無い
「いってらっしゃい。こっちでも探しておくわ」
にっこり(顔だけ)笑って送り出された
さて、どこを探したものか






〜カトリーヌ編〜

コンコン
「・・・だれ?」
「俺だ」
「・・入って」
カトリーヌの返事が聞こえる。俺は遠慮なく入らせてもらう
かざりっけの無い部屋だ。俺の部屋もたいした装飾はしていないがこれはそれを超えている
機能性重視に特化しており無駄という無駄を省いた部屋だ
彼女はベッドに腰かけて本を読んでいたが
「・・・何?」
部屋に入ったとたん彼女が聞いてきた。まあ俺が理由なしに彼女の部屋に入ることは無いから当然の反応だろう
「ああ、エレメスは来てないか?」
「・・・来てない」
なぜそんなことを聞くのか?といった表情だ。当然といえば当然のリアクションである
「いや実はな・・・」
事の詳細を説明する。彼女は「・・・そう」とだけ言って黙り込む
「・・・・・・・」
「・・・・・・・」
会話が続かない
「とりあえず来たら捕まえておいてくれるかな?」
「・・・私のところにはこないと思うけど」
なんとも危機意識の無いことだ。マガレがあんな目にあったのだから明日はわが身くらいに感じてもらわねばあれと一緒には暮らせない
「・・・・・」
俺は無言で無防備なカトリに近づいていく
意図が読めないのかきょとんとした顔のまま俺のことを見つめてくる
俺はそのままカトリの肩をつかみ別途の上に引き倒した
「!!」
カトリの目が大きく見開かれる
俺は彼女にのしかかるように移動する
「・・・セイレン?」
おびえた猫のような表情でこっちを見ている
俺はニヤリと笑い
「っとまあこんな感じに襲われるかもしれないということさ」
彼女に覆いかぶさるような体制から体をはずした
「まあいつ襲われるかわからないんだからそれに関する危機意識ぐらいは持ってもらわないと」
彼女は呆然とした表情で起き上がる。自分を信頼して部屋に上げてくれたことに対しての仕打ちとしてはひどかったかもしれない
ちょっと良心にちくっと来た
「それじゃあ邪魔したな」
「・・・・・・うん」
扉をあけて外に出ようとすると部屋の向かいの壁になにやら跡が残っていることに気づく
結構な質量のものが何度かぶつかった跡・・・のようだが
「なあ、この跡って何なんだ?」
振り返ってカトリに聞いてみる
「・・エレメス」
・・・・・・・・・
ああ・・・・なるほど。ユピテルサンダーか
下手をすれば俺はこの跡の仲間入りを果たしていたわけだ
「悪い、余計なおせっかいだったな」
「・・・いい」
そのまま俺は部屋を後にする
最後に何か彼女がぼそりとつぶやいたが俺の耳には入らなかった

「・・・セイレンなら・・・別に良かったのに・・・・」







〜セシル編〜

コンコン
「誰?」
「俺だ、入るぞ」
ガチャリと扉を開け中を観察する
相変わらずいろいろと女性らしからぬ部屋だ
床には服が脱ぎ散らかされ机の上はごちゃごちゃと弓やら矢やらが放り出されている
棚の上にぬいぐるみがおいてあったりと飾りは女性らしいのだが・・・
「ちょ、こら!何、人の部屋に勝手に入ってんのよ馬鹿!!」
セシルがどなる
「ノックはしただろ」
「入って良いとは一言も言ってないわよ!」
いつものことなのでこちらもいつも通り返す
「じゃあだめなのか?」
「う・・・いや、だめじゃないけど・・・」
「じゃあいいんだな?」
あっさり言い負かされるセシル。彼女は俺以上に嘘がつけない性格だ
「そ、それより!何の用よ!」
口では勝てないと悟ったのか怒鳴り散らす
「エレメスが来てないかなと思って」
「はあ?あいつが部屋入ろうとしたら生きて返すわけ無いでしょ!」
それはそうか。セシルは俺と同じく奴をあぶり出す手段は持たないが感覚は人一倍敏感だ。
・・・・最も集中力が無いのかうまくその能力を引き出せていないのだが
「じゃあ、ここには来てないって事か」
「そうなるわね」
「そうか」
それじゃあと立ち去ろうとすると
「待ちなさいよ!ちゃんと説明していきなさい!勝手に人の部屋に入っておいてそれで済ます気!?」
セシルに呼び止められた
「知りたいのか?」
「べ、別に知りたいわけじゃないわよ!ちょっとした好奇心よ!」
何をそんなに怒っているのかわからんが説明してやることにする
「えーとだな」
とりあえず最初から説明しようとすると
「ちょっと待って」
と言い彼女は立ち上がってなにやら紅茶を入れ始めた
「おいおい俺はそんなに長居するつもりは無いんだが」
「うるさい!私が飲みたいだけよ!あんたのために入れてあげるわけじゃないんだからね!勘違いしないでよ!」
まったく良くわからん奴だ。まあいい。ここでエレメス捜索もちと小休止だ






〜エレメス編〜

ぎいいいい
エレメスの部屋の扉を開く。灯台下暗しあるいはここにいるかもしれないと思い来てみたのだ
「ふむ」
殺風景な部屋だ・・・と言うよりもそこには生活臭がまるで無かった
俺やカトリの部屋もたいがい機能性重視であまり余計なものは置いていない
しかしこの部屋は人が住んでいるところのそれではない。かろうじてベッドが整っているだけで他は空き部屋と変わらなかった
「・・・・・・いるのか?エレメス」
気配は部屋の中ではなく外からだ。どうも俺のかんは当たったらしいが来るのが少々遅かったようだ
奴はすでに俺の横をすり抜け外にいた
「ははは、天下のセイレン殿ともあろうものが二度も拙者に気づかぬとはwwwww」
けらけらと笑う。俺に対する嘲笑ではなく純粋に自分の勝利に対して笑っているようだ
「またずいぶんと・・・部屋ともいえんようなところで寝泊りしているんだな。そこらの空き部屋と変わらんぞ?」
「ははは」
笑いが愛想のようになる
「拙者ら暗殺者はいろいろと恨まれることもあるのでござるよ。寝床を襲われるなど日常茶飯事、だから自分の痕跡は残さんのでござる」
隠れたまま俺と話をする
「そこが大切であればあるほど拙者ら暗殺者はそこに自分の痕跡を残さんのでござる。
 しかし今はそのようなことを気にする必要も無いのも事実。
 そのベッドは自分に身についてしまった悪しき癖へのささやかな抵抗でござるwww」
そのとき彼がどのような表情をしていたのかは俺には見えなかった
「さて、いい加減鬼ごっこも飽きた。お縄についてもらおうか」
「くくくwwwwセイレン殿に拙者が捕まえられるでござるかな?www」
俺はエレメスへと近づいていく
エレメスは逃げるでもなく姿を隠したままそこにたたずむ
「サイト!」
「!!!!」
射程圏内に入ったとき俺はそれを発動させた
セシルが冒険者達を撃破したときに拾ったもの、それを貸してもらっていたのだ
「く!!」
姿を現されたエレメスが退散しようとする。当然だ。タイマンではこちらに分がある
俺は逃げるエレメスに槍を投げつける
今度こそ槍はエレメスに命中し一時的に奴の動きを止める
「っは!!!」
そのまま肉薄してしまえば後はたやすい。エレメスは武器を構えてもいない。簡単に組み伏せることができた
「はっはっは、さすがセイレン殿wwwそのような隠し玉を持っていたとはwwww」
「戦いには手を抜かないのが俺の信条でね」
俺はニヤリと笑う
「鬼ごっこは俺の勝ちだな」







〜セイレン編〜

エレメスをマガレに引渡し俺は自室へと戻った
『これはハワードに引き渡すわ。このお礼は近いうちにするから』
そう言ってマガレはハワードの部屋に向かった
普段ならば同情するところだが今回ばかりはエレメスも自業自得としかいえない
コンコン
「ん?誰だ?」
「私よ。入るわね」
そういって入ってきたのはセシルだった。なにやら俺の部屋を見回している
「俺の部屋なんか見ても面白いもんなんか無いぞ」
実際そうなのだ。カトリほどではないが無駄なものをほとんどおいていないため特に変わったところは無い
あえて言うならば壁に立てかけられた剣や槍の類だろうか
「ふん!あんただけ私の部屋じろじろ見たんだからね!私にもあんたの部屋を見る権利くらいあるわ!」
別に観察することが目的ではなかったのだが・・・まあ確かにこれでおあいこか
「それで満足するならいくらでもどうぞ、って!おいこら!棚まで探るな!」
セシルは調子に乗って机の棚の中まで探り始めたのだ
「ちぃ!ばれたか!」
「あたりまえだ!」
反省の色もなく進めてもいない椅子にどかっと腰を下ろす
「もちろんお客様にはお茶くらい出すわよねぇ?」
ニヤニヤしながらこちらを見る。無理やり上がっといて何が客だ。人のことは言えんが
「しょうがないな」
俺はそうつぶやきながらも立ち上がる
ついでだ、セシルの二番煎じはごめんなのでお茶菓子も持っていこう







〜ハワード編〜

がちゃ
「ぎゃああああああああああああああ」

※お見苦しい光景が繰り広げられております。少々お待ちください。

ばたん
「やれやれ、見ていられないな」
そういって俺はその場を後にした












END
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